田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)瑞鳳殿で13日、水害パネル展「過去・現在・未来『蘇』―生きる原動力―」が始まった。9月5日(日)まで。入場無料。午前9時~午後4時。
2011(平成23)年の紀伊半島大水害から10年。1889(明治22)年の明治の大水害(十津川大水害)など、熊野地方ではこれまで幾多の自然災害に見舞われてきた。同大社では、十津川大水害により旧社地(大斎原)の社殿は多くが流出。約1年8カ月後に、水害を逃れたた四社を現在の場所に遷座した。
今回のパネル展では、明治から平成に起きた水害に関する当時の写真や新聞、古地図、絵はがき、日記など、98点の貴重な資料を展示。
十津川大水害の際に同大社から流出し、串本町の橋杭岩で発見。1939(昭和14)年に約50年ぶりに同大社に戻ってきた「日本第一熊野本宮三神尊像版木」も展示されている。
パネル展開催に当たり、九鬼宮司は「多くの自然災害に見舞われながらもたくましく向き合ってきた人たちによって熊野はつくられている。現在のコロナ禍において、時代時代の災害を振り返る中で人々が力を合わせ、自然に向き合ってきたかを再確認してほしい。災害の恐ろしさ、厳しさ、そして命の大切さを、蘇(よみがえ)りの地、再生の地から発信できれば」と来場を呼び掛けている。
同所では、29日(日)午後1時30分から、パネル展に36点の資料を提供した、熊野学研究委員会などの委員を務める中瀬古友夫さんによる講演会「古書から見える当時の水害」を開催する。入場無料。定員は60人(先着順)。新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては中止や変更となる場合がある。問い合わせは同大社(電話0735・42・0009)まで。
(2021年8月14日付紙面より)
海図150周年を記念し (那智勝浦町 )
日本が海図作成のための近代的水路業務を開始して150周年の節目に当たり、那智勝浦町下里の第五管区海上保安本部下里水路観測所(橋本友寿所長)は、明治時代から現在までの熊野地方沿岸の海図のパネル展を予定している。9月18日(土)の施設公開に合わせて実施する予定で、新型コロナウイルス感染対策のため事前申し込みが必要だ。
海図とは海岸線や水深、暗礁、海底の地質、海中の障害物、灯台などの航路標識を記載した「海の地図」。タンカー船やクルーズ船、漁船などの安全な航行や海洋開発などのために利用されている。
日本沿岸には江戸末期から通商を求める諸外国の船が出没するようになり、独自に沿岸の測量をするようになった。明治政府は諸外国に対抗し、海洋権益を確保するためにも日本独自の近代的測量技術を用いた海図作成に乗り出し、1871(明治4)年に兵部省海軍部水路局を設置。海洋調査から海図作成までを一貫して行う水路業務が開始された。
熊野地方の海図として(現存資料で確認できるうち)最も古い物は、82(明治15)年に発行された「海圖(かいず)第62號(ごう) 自田邊至尾鷲(たなべよりおわしにいたる):日本南岸」である。
現在の海上保安庁海洋情報部でも新たな技術を導入しながらさまざまな測量調査や海図の更新が行われている。その中でも下里水路観測所は、海上保安庁唯一の「人工衛星レーザー測距観測」を行う施設であり、国内で製作される全ての海図の基となる本土標準点を求めるための測量業務をしている。
パネル展では、1902(明治35)年に作製された海図「勝浦湾及近海」から最新版までの数点を展示する他、「日本近海3D海底地形図」や東海・紀伊沖の海底地質構造図など解説付きで見ることができる。
パネル展は昼の部(午後4時~5時)で観覧でき、定員は先着15人。対象は和歌山県の新宮・東牟婁郡内および三重県紀宝町、御浜町、熊野市の在住者に限る。高校生以下は保護者同伴。夜の部(午後8時~9時)では人工衛星レーザー測距観測の実演や月・星空の観望も予定している。
申込受付期間は9月13日(月)~17日(金)の午前9時~午後5時。申し込みは同所(電話0735・58・0084)まで。
(2021年8月14日付紙面より)
16日から先行販売を開始 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)がこのほど、「ロケットサイダー」を商品化した。株式会社オカザキ紀芳庵(岡崎悦也代表)=橋本市=と共同開発した商材で、330㍉㍑瓶入り、1本275円(税込み)。16日(月)から同協会の串本事業所や古座事業所窓口で先行販売を始め、同社経由で県内の道の駅などへも販路を広げてゆくという。
串本町独自のロケットロゴ「スペースタウン串本ロゴ」を活用した商材開発の第2弾。同町が2月に実施したイベント「宇宙ウイーク」で同ロゴを発表以降、打ち上げの機運を高める商材開発のモデルケースとして商品化を進めてきた。同社は県内に土産物の販路を広げる食料品卸売業社で、同協会はそのノウハウを借りるべく共同開発を申し入れたという。
試飲も重ねて仕上げた「ロケットサイダー」は、ご当地飲料としての特色を出すためポンカン風味のフレーバーを使用(無果汁)。かすかに白色を帯び、幼い子どもも無理なく味わえるようにと微炭酸仕立てにしている。
容器を瓶としたのは、各地のご当地サイダーの傾向を踏まえた同社からの提案だという。同協会は同ロゴの中から大漁旗のデザインを選んでラベルを制作した。商品像が固まったところで受注対応をしている中京サインボトリング協業組合へ製造を発注。初回生産分として2万本がこのほど納品された。
当初は地元産業の追い風になればと考え果汁入りも検討したが、製造行程上の難しさがあったため断念。宇井晋介事務局長は「モデルケースとして今後の商品開発のきっかけになればと思う。まずは2万本。同社の販路開拓も得ながら完売を目指していきたい」と意気込みを交えて語った。
同協会は同町と株式会社モンベルの包括連携協定を生かし同ロゴ入り機能性Tシャツの商品化も目指していて、第3弾の位置付けで近々達成する見込みという。
問い合わせは同協会(電話0735・62・3171)まで。
(2021年8月14日付紙面より)
新宮市のタウンガーデン
新宮市保健センター横の「タウンガーデン」で、まるで雪が積もったかのようなハツユキソウの白い葉が、道行く人に涼をもたらしている=写真(12日撮影)。ヤナギハナガサ(サンジャクバーベナ)の紫色と織りなす調和も美しい。
ハツユキソウは北アメリカ原産の一年草。夏になると葉の中に埋もれるような感じで黄緑色の花を咲かせる。
開花の頃、頂部の葉に白い斑が入り、雪が積もっているように見えることから名前が付いた。別名「ミネノユキ(峰の雪)」。英名は「スノー・オン・ザ・マウンテン」と、いずれも涼を感じさせる名前だ。
(2021年8月14日付紙面より)