現地警戒所の開所式 (太地町 )
9月から始まる小型鯨類の追い込み漁を前に和歌山県警は20日、太地町多目的センター敷地内に新設された「和歌山県警察太地町特別警戒本部現地警戒所」で対策の警戒強化を行うための警戒所開所式を行った。反捕鯨団体への対策として2011年から毎年設置されており、今年で11回目。来年3月ごろまで設置する予定。
反捕鯨団体は過去にいけすの網の切断をはじめとし、12年に同町森浦にあるモニュメントの破壊、13、14年は執拗(しつよう)な追跡や写真撮影などの迷惑行為を行った経緯がある。
同本部によると、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で海外の活動家は入国できていないため、国内の活動家のみ約70人が来町したという。抗議活動や出漁状況の撮影、監視、ドローンによる飛行行為などが確認されているが、逮捕事案などはなかったとしている。
漁期間中、警戒所では安全パトロール班のメンバーが交代しながら24時間態勢で勤務する。また、活動家には女性が多いこともあり、例年に引き続き女性警察官も配置している。
開所式では太地町特別警戒本部の谷本克也本部長(和歌山県警察本部警備部長)、山田守孝副本部長(新宮警察署長)らが出席。
谷本本部長はコロナ禍により外国人の来日はなくなったが、日本人の活動家が活発化しているとし、「日本人の活動家はインターネットでつながり、人数も増えている。現地活動だけでなく、和歌山県庁や大阪、名古屋、全国でも活動している」と説明。
警戒については「活動家は注意をしながら、裏をかいて違法行為を行う可能性がある。コロナ対策を含めて健康管理に注意し、各関係機関や本部とも連携しながら、現場での違法行為がないように警戒に当たってほしい」と訓示した。
その後、警察官らはパトカーに乗り込み、町内の巡回に出発した。
(2021年8月22日付紙面より)
10月から、役場裏高架下道路 (那智勝浦町 )
那智勝浦町役場裏側から国道42号側につながるJR高架下の道路が10月1日(金)から「歩行者・自転車専用道路」に変更される。同町では各戸配布の「広報なちかつうら」やホームページ、付近に設置した看板で呼び掛けている。
道路は現在、朝日地区方面から役場(築地地区)方面へ向かう車やバイクの運転手が利用する姿が見受けられている。桁下制限高さは1・8㍍と低く、車高のある車が通行する際は接触の危険もある。
通学路として利用する児童・生徒がいるとともに、自転車や歩行者の利用も多い。町建設課よると、車の場合、国道側からしか進入できない一方通行であるにもかかわらず、逆走する車の報告もあったという。
前述の広報などの周知継続に加え、9月下旬には地方紙への記事依頼などを検討しているという。
担当者は「元々、JRから高さが低く、危険であるため、甫子浦(ほこうら)交差点の高架下道路ができ次第、車やバイクはそちらを利用してほしいと要望があった」と説明。
運転手らにはすでに整備されている甫子浦交差点の利用を勧めるとともに、町民に対しては「皆さまの安心安全のためにも10月からは『車やバイクは通れません』ということをご理解いただきたい。ご協力をお願いいたします」とコメントしている。
20日夕方、自転車で高架下の道路を通過していた70代女性は「たまに利用するが、車がすごい速さで通っていくこともあるので怖いときもある。自転車と歩行者の専用道路になるのはありがたい」と話していた。
(2021年8月22日付紙面より)
丹羽生さんが観光功労者表彰受賞 (新宮市 )
元新宮市観光協会長の丹羽生さん(64)が、このたび「令和3年度観光功労者表彰」(個人の部)を受けた。19日に和歌山市のホテルグランヴィアで表彰式が行われ、表彰状をふるさとに持ち帰った丹羽さんは「(一報を聞いて)驚いた。受賞は皆さんのおかげ」と喜びを語った。
公益社団法人和歌山県観光連盟が、県の観光振興に著しく貢献のあった個人または団体を表彰するもので、毎年観光功労者と優良従業員が選出の上表彰される。
丹羽さんは2014年5月から18年6月までの約4年間にわたり市観光協会の会長職に就き、その間、和歌山デスティネーションキャンペーンや世界遺産登録10周年事業においてさまざまな企画で多くの観光客を招き、全国に同市を印象づけた。
また、「まち歩き観光」の推進や市内事業者向け英訳・中国語訳サポートによる訪日外国人観光客の受け入れ対応など、熊野観光におけるハブとしたまちづくりを提案。国内外からの誘客に尽力した。
和歌山県では16年に史上最高となる約3487万人の観光入り込み客数を記録。18年には16年に次ぐ約3461万人となり、世界遺産エリアの同市で過去最高を記録した。
「世界遺産登録10周年の節目もあり、当地方が盛り上がりを見せていた。海外からの観光客も多く忙しかった」。丹羽さんは在任時をそう振り返る。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は当地方にも及んだ。20年の県の観光客動態調査において、観光入り込み客総数は約2478万4000人に。外国人宿泊客数は前年比91%減となった。
「新宮市は観光にシフトできなかった」としつつも、コロナ禍の影響を避けられない現状について「やはりさみしい」と憂う。
受賞については「事務局、役員、会員の皆さんに恵まれた。関係者の方々が力を尽くしてくれたおかげです」と感謝を口にした。
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本紙エリアの受賞者は次の皆さん。
【観光功労者表彰】(個人の部)
▽丹羽 生(64)
【優良従業員表彰】
▽栗山立弥(56)=熊野観光開発㈱
▽廣里友美(43)=㈲新宮セントラルホテル
▽南本愛子(65)=㈲串本儀平
(2021年8月22日付紙面より)
近大新宮高、新宮高吹奏楽部
「金賞、そして関西大会出場!」。結果発表とともに喜びと涙が広がった。10日に和歌山市で開かれた第57回和歌山県吹奏楽コンクール高校小編成部門で、近畿大学附属新宮高校吹奏楽部(潮﨑敬祐部長)と県立新宮高校吹奏楽部(山本紗椰部長)がともに金賞を受賞し、県代表として21日(土)に開催される関西大会へ駒を進めた。
新型コロナウイルス感染症の影響で、コンクール開催は2年ぶり。当初は9日に高等学校小編成部門を予定していたが、台風による警報発令で急きょ翌10日に延期となった。3密防止などの観点から、会場での結果発表は行わず、県吹奏楽連盟ホームページ(HP)で公表した。
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創部以来初の関西大会出場を決めた近畿大学附属新宮高校は、「天満月(あまみつき)の夜に浮かぶオイサの恋」を演奏。帰校後に潮﨑部長と請川千織副部長がHPを確認して結果を発表し、部員たちは歓声を上げて喜びを分かち合った。
潮﨑部長は「演奏を終えて、『これはいける』という手応えがあったわけではなく、うれしさもあるが、どちらかといえば驚いた」。関西大会に向けて「まずは演奏の中で見つかった課題を直したい。部として初めての関西大会に行くので、楽しめたらと思う」と語った。
指揮をしたクラブ講師の南木啓司さんは「生徒たちの頑張りに、良い評価が出てうれしいの一言。関西大会では、各県のコンクールを勝ち抜いてきた学校がどのような演奏をするのかも楽しみにしている」と話していた。
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新宮高校はコンクール曲として「バルバレスク~ウインドオーケストラのために」を演奏。亀谷覚史顧問から結果発表を受けた山本部長は「めちゃくちゃうれしいです。でも、ここでは満足していなくて、まだまだ良くなるところがいっぱいあるので、さらに自分たちの演奏に磨きをかけたい。関西大会でも、みんなで後悔が残らない、楽しい演奏ができたら」。県吹奏楽コンクールを振り返り、「亀谷先生の『君たちならできる』という言葉に励まされ、1日本番が延びたくらいで気持ちがそがれることは全然なかった」と語った。
亀谷顧問は部員に向け「本番でベストに近い演奏ができたが、ここはまだ出発点。君たちはもっとすごい可能性を秘めている。近大新宮という良きライバルを得て、おごらず次に向けて気を引き締めていこう」と呼び掛けていた。
(2021年8月12日付紙面より)
学校給食米の収穫始まる (串本町 )
串本町高富にある再興田で11日、学校給食米の収穫が始まった。地産地消生産者組合(山下敏文組合長)による取り組みで、山下組合長は「2学期最初の給食に新米が届けられるよう作業を進めたい」と意気込んでいる。
この組合は、学校給食における地産地消を推進し、併せて休耕地解消の役割も帯びて2009年に発足。学校給食センターセンター設置による全町規模の学校給食開始により、現在は会員22人で借り受けた休耕用を再興し年14㌧の納入を見据えて生産に励むところとなっている。
この日収穫したのは坂本渡副組合長(68)が担当する再興田で、2学期に新米を間に合わせる計画で品種・コシヒカリを栽培している。今年は苗の育ちが良く、例年より一足早く田植え。後の長引く梅雨で成長が鈍り心配もしたが梅雨明け以降の好天続きで持ち直し、台風や豪雨などに見舞われることもなく上々の実りを迎えたという。
坂本副組合長は「子どもたちが『おいしい』と言ってくれることが何よりうれしく、生きがいにもなっている。それは山下組合長をはじめとして組合員全員が思っている」とやりがいを語りつつ、愛用のコンバインで収穫。
今年最初となる坂本副組合長の収穫作業を見守った山下組合長は「組合員の高齢化が進み今年も1人が引退したが、新たに40歳のIターン者が加わり30㌃ほどを作ってくれている。後継者がいないという心配が尽きない中なので若手の入会はうれしい限り」と同組合の近況を語り、努力を重ねて届ける地元の米で子どもたちが元気に頑張ってくれることを願った。
収穫時期は組合員によってまちまちで、今年も9月中旬ごろまでそれぞれに作業を進めて必要量を確保するという。
(2021年8月12日付紙面より)
太田の郷でビデオ撮影 (那智勝浦町 )
和歌山県は今年11月に予定している在外和歌山県人会と県内小・中学生、高校生のオンライン交流会「わかやま国際ネットワーク」に向け、ビデオメッセージを製作している。4日には那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」で撮影会があり、2019年の「第1回和歌山県人会世界大会」で在外県人をもてなした太田小学校の児童らが「また会える日を楽しみにしています」と言葉を贈った。
和歌山県はこれまで約3万3000人の海外移住者を送り出している全国6位の移住母県。アメリカやアルゼンチン、ペルーなど世界各地に移住した県出身者は、現地で親睦や相互扶助のために県人会を組織し、団体数は現在16に上る。
19年には、国内外の県人会が一堂に会し、ふるさとを離れた人々の郷土への誇りを高めることを目的に世界大会を初開催。太田小学校で開かれた交流会では、児童がふるさと巡りツアーで訪れた170人に「豊年太鼓」を披露し、一緒に高菜のすしを作って味わった。
ビデオメッセージでは、児童と食事処「太田川のめぐ味」の調理員が高菜のすしを作る様子を撮影。児童はペルーやメキシコの人々から土産の菓子やピンバッジをもらったことを思い出して盛り上がっていた。
太田の郷の石田一事務局長は「在外県人の方々はふるさとの文化を継承していくため、現地で日本料理研究会を開いていると聞いた。世界大会では高菜のすし作りが好評で、レシピが欲しいと言われ、英語訳やスペイン語訳を渡した。ビデオメッセージでその時のことを思い出してもらえたら」と語る。
第2回和歌山県人会世界大会は2023年を予定している。県ではそれに向けて毎年11月を「わかやま国際スピリット」推進月間とし、各地の和歌山県人会とさまざまな交流事業を実施していく。
(2021年8月12日付紙面より)
高校生がスプレーボトル寄贈 (美熊野福祉会 )
新宮市在住の榎本未来(みく)さん(近大附属新宮高校3年)は10日、社会福祉法人「美熊野福祉会」の障害者自立支援施設「ワークランドそら」(橋上慶一施設長、同市佐野)を訪れ、消毒液のスプレーボトル36個を寄贈した。
妹の琹乃さん(17)が同施設を利用する未来さん。「コロナがはやっている中で、感染拡大予防のために自分にできることはないかと考えた。同施設には日頃からお世話になっているので感謝の気持ちも込めた」と寄贈のいきさつを語る。
「一人一人の好みに合うように」。そう思いを込め、手のひらサイズのボトルには、人気アニメのキャラクターのイラストやデコレーションシールを貼るなど、一つ一つに飾り付けを施した。
寄贈を受け、橋上施設長は「温かいプレゼントを頂き、私もすごくうれしい」と感謝を示し「コロナ禍だけど、感染予防をしながらみんなで頑張っていこう」と利用者らに呼び掛け。
利用者を代表し、大井法子さんが「私たちのことを考えて、いつも楽しく持ち歩けるようにかわいくきれいな飾りまで付けていただき、明るい気持ちになることができます。本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。
未来さんは「明るく、楽しい気持ちで感染対策をしてほしい。コロナ禍で家から出られず、利用者の方もストレスが多いと思う。『そら』で楽しく過ごしてほしい」と思いを寄せた。
(2021年8月12日付紙面より)