杉本翁らたたえる顕彰碑設置 (新宮市 )
「第二次世界戦争による戦禍に加え、昭和21年、南海道大地震の二重災害に打ちのめされた新宮市が焼土の中から立ち上がり、県下屈指の近代都市として明るく復興を遂げたのは新宮市長杉本喜代松翁をはじめとする先人各位の卓抜なる指導力と市民の努力に負うところが大きい」―。
新宮市役所の正面玄関に16日、「戦災震災復興顕彰碑」のリメーク版が設置された。顕彰碑は1978(昭和53)年12月21日、市制45周年の催事に際し、瀬古潔市長(当時)が旧市民会館前広場に建立したもの。当時の市立図書館長、木田泰夫氏が撰修(せんしゅう)した。
2016(平成28)年7月、旧市民会館の解体に伴い撤去されて以降、別所にて保管されていたが、復興に奮闘した当時の市民や、元市長であり名誉市民の杉本喜代松翁の多大なる功績を永く後世に伝えていくためにこのたびの設置に至った。
銅板部分は当時のもので、熊野の山と木材を愛した翁をしのび、フレームには木材が使用されている。
設置に当たり、田岡実千年市長は「戦災・震災の2重苦から近代都市として明るく復興を遂げた先人の努力を感じていただきたい」とコメントを寄せている。
□ □
■杉本喜代松
1873(明治6)年、三重県熊野市に生を受ける。熊野の山に魅せられ、新宮木材同業組合長、和歌山県木材同業組合連合会長などを歴任。紀の国木材界の重鎮として名を天下に響かせた。
1946(昭和21)年、戦後最初の市長に就任。太平洋戦争の戦禍の上、南海大震災によって焼土と化した市街地復興に注力。49(昭和24)年までに応急住宅、市営住宅、庶民住宅など、市内に総計1000戸を建設した。
さらに、緑丘中学校や光洋中学校、市民病院なども建設し、55(昭和30)年までの長期にわたり新都市計画に尽力。現在の市街地の礎を築いた。
同年6月18日逝去。11年後の66(昭和41)年、4人目となる名誉市民の称号を受けた。
(2021年8月17日付紙面より)
オンラインで「新成人の集い」 (古座川町公民館 )
古座川町公民館(髙尾昌伸館長)が15日、中央公民館で行事「新成人の集い」を開いた。新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、今回はウェブ会議形式で式典を実施し成人の節目をつける機会を届けた。
同町の成人式に相当する同行事。今回の新成人対象は2001年4月2日から02年4月1日までに生まれた男女とし、町立中学校の卒業生へ招待状を送付しつつ同町にゆかりがあり対象に該当すれば誰でも参加可として出席を呼び掛けた。
前年度は同感染症の拡大に翻弄(ほんろう)され、式典が実施できず。本年度も似た情勢だが2年続けて機会を欠かしたくないという主催者側の思いと対象の世代がリモート授業などでウェブ会議の環境になじみがある点を絡め、できうる最大限の形を模索した末、ウェブ会議形式での式典実施に至ったという。
当日は招待対象23人中5人と希望者1人が新成人として出席。ふるさとを代表して髙尾館長と西前啓市町長、中道悟教育長が出席し、同町教育委員会教育課の住吉友樹副主査が進行を務めた。
髙尾館長は一期一会の気持ちで出会いを大切にし、ウィズ・コロナ時代のデュアルモード社会を生きていく意識で成果を上げること、西前町長は周りへの感謝と責任感、中道教育長は成人としての社会支持と選挙参加をそれぞれ願って新成人の前途を祝した。
祝電の披露を経て新成人一人一人が心境や抱負を発表し、他の一同が受け止めて個々の決意を後押しした。記念企画として串本町田原出身のシンガー・ソングライター、南努さんのオンラインミニライブもあり、南さんは目標に挑戦する一先輩としてのエールを注ぎつつ昨冬リリースした楽曲「KOOZA」など2曲を披露して華を添えた。
新成人の大屋咲歩さん(20)は「同じ空間でできなかったのは残念だけど、このような機会をつくっていただけてありがたい」と出席した印象をコメント。現在は石川県内で林業を学び将来は古座川町の林業と都市圏をつなぐ懸け橋になることを目指しているそうで、「両親の支えなどへの感謝を忘れず、恩返しの思いで頑張りたい」と気持ち改まるところを語った。
招待対象者と希望者には前年度同様に記念品に物産品などを加えて贈り、改めてふるさとを思うきっかけを託すという。
(2021年8月17日付紙面より)
高校3年生に個別接種も (新宮市 )
新宮保健所管内や全国的な感染拡大状況を受け、新宮市はこのほど新型コロナワクチンの接種計画を見直した。また、受験などの事情を勘案し、今月23日(月)から高校3年生への個別接種を実施していくという。
7、8日から開始した64歳以下の集団接種。市は集団接種の日程を追加し、また、新宮市医師会の協力の下、一部年齢層を個別接種に切り替えるなどして接種の早期完了を目指していた。
16日から開始となった個別接種は、当初16日の週、23日の週の2週間を予定していたが、このほど30日の週を追加。接種人数を900人から約2000人(高校3年生接種希望者含む)とした。伴い、個別接種の対象は35~49歳に。集団接種の状況を踏まえながら高年齢順に案内していく。
12~18歳への接種について、23日から始まる高校3年生の分は市内に住民票を置く学生が対象で、接種希望調査結果を勘案すると137人になるという。高校3年生以外の接種時期や方法については、現在医師会と検討を進めている。
市新型コロナワクチン接種推進室では、先月28日に受け付けを終了した希望調査票について、現在も受け付けを継続しており、「土、日曜の日程での接種が困難」などの理由で希望調査票への回答を見合わせていた人への相談も受け付けている。
問い合わせは同推進室(電話0735・22・5070)まで。
(2021年8月17日付紙面より)
規模縮小して追善供養 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿のふれあい会館でお盆の15日、追善供養があった。醫王山(いおうざん)東正寺(とうしょうじ)と龍光寺の片野晴友住職らによる読経に続いて西田健町長、紀宝町花火大会実行委員長の倉前太さんが焼香。初盆家庭が供えた28柱の灯籠に手を合わせ故人の冥福を祈った。
例年、鵜殿港で「紀宝町花火大会」として開催し、約700発の花火が帰省客らを楽しませているが、今年は新型コロナウイルス感染症対策として花火と灯籠を焼く銀滝花火を中止し、会場を変更して追善供養のみ実施した。
町村合併前の「初盆供養・追善花火大会」を新町でも引き継ぎ、2006年から町の花火大会として実行委員会が主催。毎年、メッセージ花火や追善早打ちなど趣向を凝らした花火が夜空を染め夏の風物詩に定着してきた。
今年は規模を縮小して遺族の参列もなく、代表して参列した倉前委員長は「全国的に新型コロナウイルスが拡大しているため、今年は銀滝花火も取りやめた。紀宝町でもワクチン接種が進んでいるので、来年は例年通りの紀宝町花火大会にしたい」と話していた。
(2021年8月17日付紙面より)
近大新宮高、新宮高吹奏楽部
「金賞、そして関西大会出場!」。結果発表とともに喜びと涙が広がった。10日に和歌山市で開かれた第57回和歌山県吹奏楽コンクール高校小編成部門で、近畿大学附属新宮高校吹奏楽部(潮﨑敬祐部長)と県立新宮高校吹奏楽部(山本紗椰部長)がともに金賞を受賞し、県代表として21日(土)に開催される関西大会へ駒を進めた。
新型コロナウイルス感染症の影響で、コンクール開催は2年ぶり。当初は9日に高等学校小編成部門を予定していたが、台風による警報発令で急きょ翌10日に延期となった。3密防止などの観点から、会場での結果発表は行わず、県吹奏楽連盟ホームページ(HP)で公表した。
□ □
創部以来初の関西大会出場を決めた近畿大学附属新宮高校は、「天満月(あまみつき)の夜に浮かぶオイサの恋」を演奏。帰校後に潮﨑部長と請川千織副部長がHPを確認して結果を発表し、部員たちは歓声を上げて喜びを分かち合った。
潮﨑部長は「演奏を終えて、『これはいける』という手応えがあったわけではなく、うれしさもあるが、どちらかといえば驚いた」。関西大会に向けて「まずは演奏の中で見つかった課題を直したい。部として初めての関西大会に行くので、楽しめたらと思う」と語った。
指揮をしたクラブ講師の南木啓司さんは「生徒たちの頑張りに、良い評価が出てうれしいの一言。関西大会では、各県のコンクールを勝ち抜いてきた学校がどのような演奏をするのかも楽しみにしている」と話していた。
□ □
新宮高校はコンクール曲として「バルバレスク~ウインドオーケストラのために」を演奏。亀谷覚史顧問から結果発表を受けた山本部長は「めちゃくちゃうれしいです。でも、ここでは満足していなくて、まだまだ良くなるところがいっぱいあるので、さらに自分たちの演奏に磨きをかけたい。関西大会でも、みんなで後悔が残らない、楽しい演奏ができたら」。県吹奏楽コンクールを振り返り、「亀谷先生の『君たちならできる』という言葉に励まされ、1日本番が延びたくらいで気持ちがそがれることは全然なかった」と語った。
亀谷顧問は部員に向け「本番でベストに近い演奏ができたが、ここはまだ出発点。君たちはもっとすごい可能性を秘めている。近大新宮という良きライバルを得て、おごらず次に向けて気を引き締めていこう」と呼び掛けていた。
(2021年8月12日付紙面より)
学校給食米の収穫始まる (串本町 )
串本町高富にある再興田で11日、学校給食米の収穫が始まった。地産地消生産者組合(山下敏文組合長)による取り組みで、山下組合長は「2学期最初の給食に新米が届けられるよう作業を進めたい」と意気込んでいる。
この組合は、学校給食における地産地消を推進し、併せて休耕地解消の役割も帯びて2009年に発足。学校給食センターセンター設置による全町規模の学校給食開始により、現在は会員22人で借り受けた休耕用を再興し年14㌧の納入を見据えて生産に励むところとなっている。
この日収穫したのは坂本渡副組合長(68)が担当する再興田で、2学期に新米を間に合わせる計画で品種・コシヒカリを栽培している。今年は苗の育ちが良く、例年より一足早く田植え。後の長引く梅雨で成長が鈍り心配もしたが梅雨明け以降の好天続きで持ち直し、台風や豪雨などに見舞われることもなく上々の実りを迎えたという。
坂本副組合長は「子どもたちが『おいしい』と言ってくれることが何よりうれしく、生きがいにもなっている。それは山下組合長をはじめとして組合員全員が思っている」とやりがいを語りつつ、愛用のコンバインで収穫。
今年最初となる坂本副組合長の収穫作業を見守った山下組合長は「組合員の高齢化が進み今年も1人が引退したが、新たに40歳のIターン者が加わり30㌃ほどを作ってくれている。後継者がいないという心配が尽きない中なので若手の入会はうれしい限り」と同組合の近況を語り、努力を重ねて届ける地元の米で子どもたちが元気に頑張ってくれることを願った。
収穫時期は組合員によってまちまちで、今年も9月中旬ごろまでそれぞれに作業を進めて必要量を確保するという。
(2021年8月12日付紙面より)
太田の郷でビデオ撮影 (那智勝浦町 )
和歌山県は今年11月に予定している在外和歌山県人会と県内小・中学生、高校生のオンライン交流会「わかやま国際ネットワーク」に向け、ビデオメッセージを製作している。4日には那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」で撮影会があり、2019年の「第1回和歌山県人会世界大会」で在外県人をもてなした太田小学校の児童らが「また会える日を楽しみにしています」と言葉を贈った。
和歌山県はこれまで約3万3000人の海外移住者を送り出している全国6位の移住母県。アメリカやアルゼンチン、ペルーなど世界各地に移住した県出身者は、現地で親睦や相互扶助のために県人会を組織し、団体数は現在16に上る。
19年には、国内外の県人会が一堂に会し、ふるさとを離れた人々の郷土への誇りを高めることを目的に世界大会を初開催。太田小学校で開かれた交流会では、児童がふるさと巡りツアーで訪れた170人に「豊年太鼓」を披露し、一緒に高菜のすしを作って味わった。
ビデオメッセージでは、児童と食事処「太田川のめぐ味」の調理員が高菜のすしを作る様子を撮影。児童はペルーやメキシコの人々から土産の菓子やピンバッジをもらったことを思い出して盛り上がっていた。
太田の郷の石田一事務局長は「在外県人の方々はふるさとの文化を継承していくため、現地で日本料理研究会を開いていると聞いた。世界大会では高菜のすし作りが好評で、レシピが欲しいと言われ、英語訳やスペイン語訳を渡した。ビデオメッセージでその時のことを思い出してもらえたら」と語る。
第2回和歌山県人会世界大会は2023年を予定している。県ではそれに向けて毎年11月を「わかやま国際スピリット」推進月間とし、各地の和歌山県人会とさまざまな交流事業を実施していく。
(2021年8月12日付紙面より)
高校生がスプレーボトル寄贈 (美熊野福祉会 )
新宮市在住の榎本未来(みく)さん(近大附属新宮高校3年)は10日、社会福祉法人「美熊野福祉会」の障害者自立支援施設「ワークランドそら」(橋上慶一施設長、同市佐野)を訪れ、消毒液のスプレーボトル36個を寄贈した。
妹の琹乃さん(17)が同施設を利用する未来さん。「コロナがはやっている中で、感染拡大予防のために自分にできることはないかと考えた。同施設には日頃からお世話になっているので感謝の気持ちも込めた」と寄贈のいきさつを語る。
「一人一人の好みに合うように」。そう思いを込め、手のひらサイズのボトルには、人気アニメのキャラクターのイラストやデコレーションシールを貼るなど、一つ一つに飾り付けを施した。
寄贈を受け、橋上施設長は「温かいプレゼントを頂き、私もすごくうれしい」と感謝を示し「コロナ禍だけど、感染予防をしながらみんなで頑張っていこう」と利用者らに呼び掛け。
利用者を代表し、大井法子さんが「私たちのことを考えて、いつも楽しく持ち歩けるようにかわいくきれいな飾りまで付けていただき、明るい気持ちになることができます。本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。
未来さんは「明るく、楽しい気持ちで感染対策をしてほしい。コロナ禍で家から出られず、利用者の方もストレスが多いと思う。『そら』で楽しく過ごしてほしい」と思いを寄せた。
(2021年8月12日付紙面より)