金剛寺の「二河の火祭り」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町二河にある金剛寺で毎年実施される伝統の荒供養「二河の火祭り」は昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となった。当日の23日は役員やたいまつを投げる予定だった児童ら9人が集まり、来年の祭り斎行を願うとともに、供養のためのたいまつを持って宝篋印塔(ほうきょういんとう)に供えた。
荒供養は1510(永正7)年に始まったとされ、先祖代々の総供養も兼ねて地元の若者たちが継承してきた。二橋青年会が行事を受け継ぎ、青年会で保存会(大江政典会長)を組織して地元住民らと共に伝統を守っている。
大江会長によると、祭事は戦時中の一時期を除いて中止になったことはないという。
例年は白装束に身を包んだ若者たちが本堂で採り火し、種火を分け合って裏山へ駆け上がる。その後、宝篋印塔前でたいまつに点火し、架線を目掛けて次々に投げ上げる。その幻想的な光景を一目見るために地域内外から多くの人が集まる。
コロナの状況を鑑みて5月ごろに中止を決定した。当日9人は例年通りに本堂で黙とうし、採り火をして点火したたいまつを持って裏山を登った。目神八幡(めがみはちまん)の社と宝篋印塔にたいまつを供えた。
最後は塔の前に全てのたいまつを集めて火が消えるまでその様子を見守っていた。
大江会長は「現在の状況では中止は仕方ないと思うが残念。しかし、ずっと中止が続いてしまうと、祭りを支えてくれている皆さんの思いが薄れてしまうのが心配」。
来年については「伝統を絶やさないように、規模は縮小してでも来年は実施したいと思う」と語った。
(2021年8月25日付紙面より)
寺子屋広場で10人が学ぶ (紀宝町 )
60~79歳の男女1万人を対象にした調査によると、シニア世代のスマートフォン所有率は約8割に上ることが分かった。昨年から今年にかけて、新型コロナウイルス流行に伴う家族との連絡といった需要が重なり、スマホの普及が加速したと考えられるという。
普及に比例して「スマートフォンの使い方が分からない」。そんな声も多く聞かれるようになった。
「使い方教えてよ」といった要望があって実現した「スマートフォン教室」が23日、紀宝町福祉センターであった。スマホを使いこなしたい10人が参加し、カメラやインターネットの使い方を学んだ。
町社会福祉協議会が主催し、地域住民らを講師に招いて関心のあることに挑戦する「寺子屋広場」として開催。手指消毒や検温、マスク着用など感染症対策を講じ、ドコモショップ熊野店の浦垣内順平さん、南尚克さんを講師に招いた。
浦垣内さんは、スマホを手に「スマホで撮影する際は、カメラアプリを起動し、撮りたい場面でシャッターボタンを押す。縦、横で持ち方を変えることでさまざまなアングルの写真を撮ることができる。撮影時はカメラに指が映り込まないよう注意する」などと説明した。
インターネットについては「電話以外はインターネットと思ってもらっていい。メールやラインもネットでつながっている」と紹介。参加者はネット画面を開いて知りたい情報のキーワードを入力し、検索にチャレンジした。
スマホ歴5年の石井基視さんは「最初は苦労したけど、使い出したら便利。今日の参加者で集まって勉強会を計画している。この教室がいい機会になった」と話していた。
(2021年8月25日付紙面より)
三輪崎区で精霊送り (新宮市 )
新宮市の三輪崎海岸で15日、精霊送りが営まれた。初盆供養を迎える家族などが随時赴き、精霊を送り供養の機会とした。
三輪崎区(屋敷満雄区長)が毎年執り行う盆の恒例行事。例年なら同区の寺から祭壇や線香立て、花立てなどを借用の上、住職の読経の中行事を斎行していた。
今年は新型コロナウイルスの影響で、祭壇設置や読経は中止に。区役員ら約10人が同日の午前中に会場入り口にテントやライト、机を設置し、コロナ対策としての消毒液などを配置した。
線香立てはドラム缶を活用。半分に裁断し、中に砂を詰めた。役員らが常時会場で来場者を見守る中、午後1時から7時までと例年より時間を短縮して実施。延べ約700人が訪れ、線香を立てて手を合わせるなどして先祖の霊を見送った。
3世代の家族連れの姿も見られたと屋敷区長。「地域の人たちは非常に喜んでくれた。古き良き日本の姿を今に伝える伝統行事。これからも工夫して継続していけたら」と話していた。
(2021年8月25日付紙面より)
社協もの忘れ川柳結果決まる (古座川町 )
古座川町社会福祉協議会の第3回もの忘れ川柳の入賞結果がこのほど決まった。最優秀賞作品は「久しぶり 本当は誰か わからない」。応募全作品を掲載した作品集を役場の本庁や出張所、保健福祉センター(町社協事務所窓口)や一部の郵便局で配っている。
この川柳は、認知症に優しいまちづくりの機運を高めるため年1回の頻度で募集。町内在住、在勤者を対象にし一人につき1~3句を受け付けている。今回は窓口のふれ愛カフェ♡よりみちや桜カフェが新型コロナウイルス感染症の情勢で十分に開けず町社協事務所主体で受け付ける中、7歳から95歳までの62人から計144句(前回比22人37句増)の応募があった。
今回は最優秀賞1点、優秀賞5点、特別賞14点を入賞とし、同感染症の拡大情勢で動きにくく前に賞状などを届けるため予定を繰り上げ16日に入賞者宅を回ったという。
第1回から関わる中核職員・久保由美子さんは「今回もほっこりとする句を多く寄せていただけた。連続入賞者や賞状を届けに行ったらもう来年の作品を考えめている人もいて、随分と興味を持っていただけるようになったと喜んでいます」とコメント。
第3回の作品集はA5判76㌻構成で600部作成。高齢者について最寄りの配布先へ取りに行けない場合は町社協へ連絡すれば普段の見守りに合わせて届けるという。
入賞作品は同センター内でも展示して紹介中。問い合わせは同町社会福祉協議会(電話0735・72・3719)まで。
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第3回もの忘れ川柳の入賞作品は以下の通り。慣例により詠み人は公表していない。
■最優秀賞
▽久しぶり 本当は誰か わからない
■優秀賞
▽爺さんや それは私の 入れ歯です
▽あれやがな あれってなにや あれやがな
▽買い物し 妻を乗せずに また戻る
▽探し物 夫婦喧嘩の キックオフ
▽杖忘れ 家にあるかと 走って戻る
■特別賞
▽うるさいな 夫のいびき なつかしい
▽久振り 毎日会っても ひさしぶり
▽愛あれば 許せるちょっとの もの忘れ
▽あんただれ 言われんように 紅をひく
▽置き忘れ さがしつかれて 買い求む
▽きみとぼく いつのまにやら ばばとじじ
▽さあたべよ ふたをあけたら 米のまま
▽財布ない 見つけた嫁が 疑われ
▽探しもの 忘れてコックリ 昼寝する
▽太りすぎ 食べることは 忘れません
▽もの忘れ 言った言わんで 口げんか
▽もの忘れ しぐさで通じる 老二人
▽忘れ合い あれないこれない 怒り愛
▽忘れても 友と話せば 気が晴れる
(2021年8月25日付紙面より)
県下高校野球新人戦
平安時代の熊野詣でを現代に再現する「あげいん熊野詣」(同実行委員会主催)の開催の可否を決める会議が3日、那智勝浦町商工会館で開かれ、出席した委員ら11人が意見を出し合った。協議の結果、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、昨年に引き続き催しの中止が決定した。
前観光協会に代わり、今回から一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が事務局となった。理事長の堀順一郎町長は「昨年より厳しい状況。催しは密になるため、開催は今年も難しいと考えている」とあいさつ。
開催可否についての協議では委員から「催しの開催は10月。現状では様子を見ていては準備など間に合わないのでは」「ワクチン接種も進んでいる。密を避け、縮小化して実施してはどうか」「やってほしいのはやまやま。しかし、何かあってからでは遅く、開催は難しいという意見も多い」「有事の際にイベントをして結果オーライとなるのは難しいのでは。さまざまな方法を考えて現状に応じたイベントをやるべきでは」「参加は地元で固めて縮小して行うか、オンラインを用いての開催もあると思う」などの意見が上がった。
長雄正紘実行委員長は「マスクをして大門坂を歩くのは厳しいはず。中途半端には実施せず、中止なら中止とすべき。終息後に本来の形で開催したほうが良いと思う」と話した。
観光機構の村井弘和事務局長は補助金の活用やイベントを専門とする事業者を巻き込んで持続可能な催しを進めていきたいとした。
堀町長は「安心安全が重要。来年は現状も変化している可能性がある。イベント会社からは方法などのアドバイスをもらう。もちろん、皆さまにご意見を頂きたい。今はそれに向けての充電期間と捉え、新しい形を検討していきたい」と語った。
委員からは町民への周知や、中止だけでなく次回のために催しや町のPRも町ホームページなどに掲載すべきではと提案があった。
(2021年8月5日付紙面より)
紀の国わかやま文化祭に向け (新宮市 )
10月30日(土)から開催予定の「紀の国わかやま文化祭2021」(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)に向け、市内の3団体が折り鶴によるきいちゃんのモザイクアートを完成させた。
県民一体となって文化祭を盛り上げることを目的に、同文化祭和歌山県実行委員会が県内の福祉事業所や学校、保育所などと連携して取り組む3大プロジェクトの一つ。
蓬莱地区民生委員児童委員は文化祭中に市文化複合施設「丹鶴ホール」で開催される「手話狂言」をイメージして「演劇」の図柄を選択。サロンなどで地域住民へ協力を募り、回収した約700羽の鶴を清水八重子代表がパネルに貼り付けた。
新宮市ボランティア・市民活動センター「結夢」は、5・7・5の初句の情景から次の句を想像して句を連ねていく文芸「連句」の図柄を製作。センターを訪れた人々が一羽一羽心を込めて折り、完成にこぎ着けた。
熊野川町の地域住民らで組織する「チームくまのがわ」は、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の中、住民同士が直接会えなくても一緒にできる取り組みを、と参加を決定。普段折り紙をしない高齢者も細かい作業に苦戦しつつ、積極的に協力したという。
完成したモザイクアートはいったん県が回収し、文化祭期間中に県内の会場で来場者をもてなす。
(2021年8月5日付紙面より)
16~64歳未接種者対象に (串本町 )
串本町が3日、くしもと町立病院で一般(16~64歳)対象の集団接種を始めた。当初計画した接種順位の最終となる集団接種で、同町は9月末完了を目指して臨んでいる。
この接種は、6月18日付で対象年齢の未接種者6290人へ発送した案内に基づき実施。先月16日に事前希望を締め切っているがその後も事前希望が届いていて、まずは締め切りまでの事前希望者を年長優先で、その後に締め切り翌日以降の事前希望者の接種を行う流れで対応している。
締め切り時点での事前希望者数は4142人。対象のうち▽基礎疾患を有する人▽在宅サービス従事者▽保育士等―の計1054人(確定数)は先月17、18日実施の優先接種〈1回目〉に回ったため、残りの3088人を集団接種に充てて日時を通知している。締め切り後の事前希望数は今月3日時点で145人だという。
集団接種の実施日は基本、火、水、金、土、日曜日としているが週によって行わない曜日があり、平均して週3日程度実施する予定。他方、平日の医師による問診を土、日と同じ3診体制にし、1時間当たりの接種頻度を120人に上げて対応している。
同町は年長優先のおおよその目安を予定として公式ホームページ上で公表しているが、福祉課の中田匠課長によると締め切りまでの事前希望者については2回目も含めて9月中に接種できる(予定が繰り上がる)見込み。「締め切り後の事前希望者も含めて、9月末までに一般対象の集団接種を完了できれば」と話している。
同町が接種しているワクチンはファイザー社製。接種可能年齢の引き下げに伴う12~15歳への接種は未定。今しばらく状況を見て実施の有無を判断したいとしている。
集団接種初日に1回目を受けた林貴子さんは、町外に出ている子どもと会える状況を保つため接種を希望したそう。「やっと打てたかなという印象」と進展を喜んでいた。
(2021年8月5日付紙面より)
新宮市の川合啓介さん (和歌山県 )
和歌山県は、退任した自治会長に知事感謝状を贈呈した。東牟婁振興局管内の対象者は6人。3日には地域振興部の吉川暢泰副部長らが新宮市新町の川合啓介さん(63)の元を訪れ、「今後とも健康に留意され、後進に経験をお伝えいただければ」と賞状と記念品を伝達した。
県では毎年、長く自治会活動において活躍し、地域の発展に尽力した人に対し感謝状を贈っている。本年度の対象者は48人(うち物故者8人)。
川合さんは1989年、25歳の時に相筋第二町内会長に就任。以降、通算16年6カ月にわたり同町内会長を務めてきた。「生まれ育ち、親しみ深く大好きな町内。自分のできる限りのことをさせてもらいたいと思った」と話し、「みんな楽しく、でも負担にならないような運営を心掛けてきました」と振り返る。
例に漏れず高齢化が進む町内の現状に言及。「かつては祭り(熊野速玉大社例大祭)の時には町内も神輿(みこし)や踊り、若いお母さんたちが創作踊りで参加してにぎわっていた」と当時を懐かしみつつも「時代は変化する。隣近所が寄り添って、静かに安全に生活できれば、そんな思いでやってきました」。
助け合い、支え合う。「古き良き日本」の姿を生まれ育った町内に映す川合さん。「役員さんは自分より若い人ばかり。その人たち中心に盛り上げていってくれたら。これからも自分にできることをお手伝いさせていただきたいと思う。みんなが安心して楽しく暮らせる町内であってほしいですね」。笑顔でそう語り、後進に期待を込めた。
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管内で感謝状の贈呈を受けたのは、次の皆さん。
▽川合啓介(相筋第二町内会、新宮市)
▽馬欠場利喜夫(中央通り町内会、新宮市)
▽瀧口定延(大桑区長、古座川町)
▽根木芳久(成川区長、古座川町)
【物故者】
▽西山 勝(西赤木区長、古座川町)
▽野口 晃(小森川区長、古座川町)
(2021年8月5日付紙面より)
県中学校総体剣道競技の部