那智勝浦町の太田川流域農泊振興協議会(西山十海会長=大泰寺住職)の取り組みが近畿農政局「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」ビジネス・イノベーション部門の優良事例に選ばれた。24日に同町役場で選定証授与式があり、西山会長は「地域を盛り上げようと、太田の郷など地域活性化に取り組む団体と協力して会を発足した。村の宝となっているが、地域に活力をもっと与えられるよう精進するので、ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどを」と述べた。今後は宿坊やインターネットでの地域農産物の販売をはじめ、大辺路街道沿いの無住寺院を宿坊に改修し、寺院に泊まり、歩いて熊野古道を楽しむ観光プランなどを考えているという。
農林水産省、内閣官房が掲げる「強い農林水産業」「美しく活力ある農山漁村」の実現に向け、農山漁村の地域資源を引き出し、地域活性や所得向上に取り組む優良事例を「ディスカバー農山漁村の宝」として選定している。本選定以外にも優れた事例があることから、近畿農政局も独自に選定し、優良事例を全国に発信している。
太田川流域農泊振興協議会は2021年に発足。西山会長が住職を務める寺院を宿坊に改装し、英語での仏教体験提供などで訪問客増加につなげ、地域の雇用を生み出してきた。
この取り組みを通じて、訪問客と地域の生産者や飲食店をつなぐことによる全体所得の向上、地域の資源を生かして宿坊の魅力を高めるなど、太田地区の活性化に寄与している。
授与式には西山会長のほか、宿坊スタッフ3人も出席。近畿農政局和歌山県拠点の中根繁地方参事官から西山会長に選定証が授与された。
中根参事官は協議会の活動をたたえ「地域性、自立性、将来性を体現した素晴らしい取り組み。皆さまの情熱、たゆまぬ努力に敬意を表し、ますますの発展を祈念します」と祝いの言葉を述べた。
(2025年12月26日付紙面より)