新宮市市民のつどい2025・男女共同参画講演会・ふれ愛講座として、料理研究家のコウケンテツさんの「キッチンからはじまる家族の絆~〝おいしい〟よりも大切なこと~」の講演が11月30日、新宮市役所別館であった。約200人が参加。食を通して男女共同参画を考えた。
新宮市、新宮市教育委員会、新宮市人権尊重委員会の主催。コウケンテツさんは大阪出身で、さまざまな家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会などで活躍している。当地方でも以前に、熊野灘捕鯨文化継承協議会によるクジラを使った新メニュー開発事業「くじらキッチン」に協力した。
開会に当たり、上田勝之市長があいさつ。「(家事など)これまで女性の専門であったと思われる分野でも、男性も一緒に活動していくことが、男女共同参画や人権を守ることにつながると考える。人権意識が一層深まることを祈念する」と話した。
講演でコウケンテツさんは幼少の頃、近隣住民などあらゆる人と一緒に食卓を囲む環境で育ったことを紹介。「楽しかった。おいしいご飯があれば、世代や年齢や性別など関係なく過ごせるんだと思った」と語り、その記憶が現在の職業につながったことを話した。
しかし月日は流れ、妻と子ども3人と暮らすようになり「しんどい」と思うことも増えたと説明。「(家事全般で)やらないといけないことが多すぎで、疲弊していく一方」と心境を明かした。
「しんどい」と感じる理由の一つとして、家族の無理解に言及。「洗濯も炊事も誰も手伝わない。大変と思っていない」と話し、家事全般は男女を問わず、協力して取り組むべきとの思いをにじませた。
(2025年12月3日付紙面より)