新宮市大橋通の淨泉寺(山口淨華住職)で20日、大逆事件で連座した第12代住職・高木顕明(けんみょう)(1864~1914年)の遺徳をしのぶ「遠松忌(えんしょうき)法要」があった。約60人が参加。顕明の論文「余が社会主義」の一節を朗読したほか、法学者である平川宗信・名古屋大学名誉教授による記念法話などを通して、顕明の「志」に触れた。
真宗大谷派の主催。「前(さき)を訪(とぶら)う 今、この時代に聞く非戦・平等の願い」をテーマに毎年営まれている。1910(明治43)年の大逆事件で同派から除籍され、失意の中で自死した顕明の顕彰などを目的としている。同派は96(平成8)年、除籍を取り消し謝罪している。
顕明は愛知県の出身。1897(明治30)年に新宮町(当時)の淨泉寺に入寺し、被差別部落の人々を見て、自身の差別意識に向き合った。後に被差別部落問題の改善について意見を交わす「虚心会」を結成、大石誠之助らと交流を深めた。「遠松」は顕明の雅号となる。
平川名誉教授は「高木顕明師の志を継ぐ―危機の時代を『極楽の人数』(浄土人)として歩む―」を講題とした。JR新宮駅付近にある顕彰碑に刻まれた「志を継ぐ」に言及。「顕明と同じ志を持つ、同志になるということだろう。しかし(大逆事件の)取り調べで同志と言えば、連座することになる。他人ごとではなく、時空を超えて自分ごとになる」と話した。
浄土真宗の「南無阿弥陀仏を唱えれば(極楽)浄土に行ける」という教えについて「いわば浄土の国籍をもらうということ。唱えれば浄土人となる。浄土の憲法が本願。浄土人となり、本願に生きる生き方を始めないと」などと呼びかけた。
「大逆罪」の条文を説明。「『危害を加えんとした』の部分は広くも狭くも、未遂でも解釈できる。でっち上げをできないこともない。当時の政府は行為を捏造(ねつぞう)し、フレームアップしたのが実態だったと思う」と語った。
(2026年6月23日付紙面より)
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