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地域の至宝を知り未来への継承を考えた=15日、新宮市の丹鶴ホール
背景や価値を学ぶ
熊野速玉大社の国宝
新宮市教委が講演会

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熊野速玉大社
 新宮市教育委員会が主催する熊野学講演会「熊野速玉大社の国宝―熊野信仰の至宝―」が15日、新宮市の丹鶴ホールであった。大学の教授や准教授が、同大社が所有する国宝の神像や古神宝類について語った。約80人が参加。歴史的背景や価値を学び、未来への継承を考えた。

 同大社には9世紀末から10世紀初頭の作と推定される7柱の神像が残っており、明治期に全てが国宝に指定。戦後はいったん重要文化財となり、再調査を経て2005(平成17)年に熊野三神を含む4柱が国宝に再指定された。古神宝類は内容品も含めて1204点あり、1955(昭和30)年に国宝に一括指定された。今回の講演会は国宝として「神像」が再指定20周年、「古神宝類」が指定70周年を迎えたことを記念して行われた。

 開会に当たり、速水盛康教育長があいさつ。「阿須賀から速玉に位置するエリアは原始から近世に至るまで、いろいろな遺物が出る。私たちは歴史を連綿として受け継いだ地の上で生活している。私たちはどこから来てどこに行くのか。さまざまな文化財に問いかけられているのでは。今ある歴史をどう捉えて、生活のありさまの中に生かし、将来未来にわたりどう生かしていくかが当地域に問われているのでは。有意義な捉え方で歴史文化を見ていただくひとときになれば」と語った。

 講演は、奈良大学の大河内智之教授が「熊野速玉大社国宝神像研究の最前線」、成城大学の安永拓世准教授が「熊野速玉大社国宝古神宝類の意義とその魅力」を演題とした。大河内教授は、明治期にあった最初の国宝指定のいきさつを紹介。現代の文化財保護法にもつながる文化財に対する考え方がどのように生まれたかなどを述べた。

 神像が造られたいきさつとして「延喜7(907)年宇多法皇の熊野御幸の際に法皇により造像が企図されたとする見解が有力」との説を伝えた。冠などに仏像の影響が見られることを指摘した。国宝神像4柱のうちの1柱は耳の造形の違いから、作者が違うと考えられていることも明かした。

(2025年9月19日付紙面より)


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水ロケットの制作を指導する総合探究チームのメンバーやコース選択生ら=14日、串本町西向
学校 宇宙探究の雰囲気を実感
総合探究チームがイベント
串本古座高校
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串本古座高
 串本町西向にある宇宙ふれあいホールSora―Miruなどで14日、イベント「プレ宇宙探究コース体験」があり町内外の子どもやその家族7人が同コースの雰囲気を実感する機会を得るなどした。

 このイベントは、県立串本古座高校総合探究チームが同校未来創造学科宇宙探究コースと連携して主催。第2学年対象科目「総合的な探究の時間」の中で地元から同コースへ進学する筋道を考えているチーム4人(当日は3人が出席)が中心となって立案し、その内容の実証をするため小学5年生~中学3年生を対象にして事前の申し込みを呼びかけて実施した。

 前半は同ホールを会場とし、同コースを主導する宇宙教育専門教員・藤島徹教諭による宇宙講義を実施。約40分の座学を経て同コース選択生1人の補佐を得ながら水ロケットの制作指導をした。

 後半は藤島教諭らが打ち上げの段取りをする間に同ホールのロケットミュージアムなどを見学。中湊にある旧同校古座校舎へ移動して水ロケットを打ち上げた。今回の水ロケットは容量1・5㍑の炭酸飲料用ペットボトルを耐圧容器として使用し、4気圧をかけて打ち上げ。水平方向で数十㍍に達する飛翔を目の当たりにしてその原理に考えを巡らせたり、互いの打ち上げを通して形が整ったロケットほど乱れずに飛ぶなど精度の重要性を実感したりするなどした。

 町内から参加した中学2年生男子は「前にも打ち上げたことがあるけれど、今回は水が噴き出す勢いで飛ぶところとかがとても印象に残った」と興味がそそられた点をコメント。チームメンバーの西悠斗さんは「カイロスロケットを見ている地域の皆さんには物足りない内容だったかもしれない」と今回の実証を振り返り、参加した7人から頂いた経験を生かして対象年齢や呼びかける地域をさらに広げるなどどうすれば筋道をさらに盛り上げていけるかを考えていきたいと語った。

(2025年9月19日付紙面より)

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町民17人が受講=16日、那智勝浦町福祉健康センター
地域 心のサポーター養成講座
自殺予防週間に合わせ
那智勝浦町
 自殺予防週間(9月10~16日)に合わせ、那智勝浦町福祉健康センターで16日、「心のサポーター養成講座」があった。町民17人が参加し、新宮保健所の精神保健福祉士、長嶝賢一さんから身近な人の心の不調への対応や自身の心のケアを学んだ。

 警察庁の統計によると、2024年の全国の自殺者数は2万320人で、前年より1517人減った。一方、小中高生は529人と過去最多で、前年より16人増えている。

 和歌山県内の自殺者数は2022年198(男性135、女性63)人、23年224(男性148、女性76)人、24年159(男性107、女性52)人と推移。自殺死亡率(人口10万人当たり)は全国平均を上回る状態が続いている。特に男性は女性の約2倍で、50代以降に多い傾向がある。

 町主催の養成講座は3回目で、昨年は町職員向け、今年は養護教諭向けに実施。町民向けは今回が初めてで、来年3月の自殺予防月間にも実施を計画している。

 心のサポーターは正しい知識と理解を基に、家族や同僚ら身近な人の心の不調に気付き、耳を傾けて手当てを担う人を指す。長嶝さんは「専門職でなくとも、話を聞いてもらえたら心が楽になるということがある。まずは身近な人の不調に気付くことが大切。大人から子どもまで、多くの人にサポーターになってほしい」と呼びかけた。

 心の応急処置(ファーストエイド)について▽心の不調に気付く▽声をかける▽話を聞く▽サポート手段を伝える・勧める―の4段階を提示。「話を聞くときは手を止め、体を相手に向ける。沈黙に寄り添い、助言や否定を控えて受け止めることが大切」と語った。

 一方で「相手に傾聴するのは大きなエネルギーが必要。サポーター自身も気持ちを抱え込まないこと」とセルフケアの重要性も強調。参加者はペアで傾聴のワークに取り組んでいた。

(2025年9月19日付紙面より)

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