那智勝浦ロータリークラブ(加藤康高会長)は4日、那智勝浦町立色川中学校(沖平和生校長)でロータリー米山奨学生による講演会を開いた。ベトナム・ハノイ市出身で、和歌山大学大学院経済学研究科で学ぶグエン・ティ・トムさん(27)が来校し、全校生徒11人が耳を傾けた。
米山奨学生は日本のロータリアン(会員)の寄付金を財源に、国内の大学・大学院で学ぶ私費外国人留学生に奨学金を支給する制度。毎年900人前後を採用し、学びを支え、日本と世界をつなぐ人材を育成している。
トムさんはベトナムのハノイ大学を卒業し、中学校の物理教師をしていたが、母親から「まだ若いから挑戦してみては」と助言を受け、留学を決意。一番安全で文化が興味深い国として日本を選んだと語った。
ベトナムの特産について「コーヒーの生産量が世界トップクラス。若い人はカフェで宿題をしたり、友達と話したりする。卵コーヒーや練乳コーヒーなど、日本にはないドリンクが人気」と紹介。
人口よりバイク台数が多いといわれるバイク大国の交通風景も映像で見せ「バイクは生活の足。日本にはホンダやヤマハがあるのに、バイクに乗る人が少なくてびっくりした」と話した。
活気あふれる市場(チョー)での買い物風景も取り上げ「今日はどれが新鮮か、お薦めの食事を店主に聞いて、コミュニケーションしながら買い物をする。スーパーより市場で食材を買う人が多い。川の上には伝統的な舟の水上マーケットもある」と語った。
一方、ベトナムと日本の違いについて「ベトナムではみんな、あまり時間を気にしない。日本のアルバイトでは10分前に出勤しないといけない
など、時間に正確で生活が早く感じる」と述べた。
将来の目標は「日本の大学で博士号を取り、日本のベトナム大使館の職員にチャレンジしたい。難しいけれど人生だから挑戦したい。失敗しても、きっといい勉強になる」と話した。
矢守匠さん(中3)は「国の名前しか知らなかったけれど、イメージが湧いた。棚田の風景など、日本と似ているところもあった。将来留学をしてみたいし、現地の言葉も勉強してみたい」と話していた。
(2025年12月11日付紙面より)