熊野新聞記事アーカイブ
熊野新聞社 The Kumano Shimbun
〒647-0045 和歌山県新宮市井の沢3-6
営業部 TEL 0735-22-8080 FAX 0735-23-2246
記者室 TEL 0735-22-8325 FAX 0735-28-1125

太地町を訪れた劇団「遊学生」の皆さん(提供写真)
来年3月の公演に向けて
劇団「遊学生」太地町で合宿

 慶応義塾大学や東京大学の学生らでつくる劇団「遊学生(ゆうがくせい)」は来年3月、太地町を舞台に公演を行う。これに当たって、21日から25日にかけて同町で合宿を実施。地域のスポットや住民との触れ合いを通じ、公演のイメージを練っていく。

 「遊学生」は、東京の学生たちが主体となり、地域で演劇の制作や公演を行う団体。鈴木寛・元文部科学副大臣が、東大と慶応大でそれぞれ主宰する「すずかんゼミ」唯一の合同プロジェクトとして2020年に発足した。地域ならではの景色や食に触れたり、地域に根付く歴史や語りを直接聞いたりすることでさまざまな知見を身に付け、それを作品に反映させる。

 現在の団員数は、竹本晴登代表(慶応大4年)を筆頭に約20人だが、公演する地域の学生も協力してくれているという。普段は東京で学んでいる学生が、公演を通じて地域の人たちと新たな関係を築くことでしか得られない「新たな学び」をつかんでいる。

 毎年、東京以外の地を会場にしており、24年度は鳥取県鳥取市、25年度は石川県金沢市で公演した。公演は代表の出身地で行うのが恒例となっており、本年度は日高川町出身の竹本代表の出身地の和歌山県。日高川町は県西部にあり、竹本代表は紀南地方には詳しくないという。そのため、この地への造詣を深めようという思いがあり、今回、太地町が舞台に選ばれた。

 一行は3月に太地町を初訪問し、町歩きして地域住民との交流や町への理解を深めた。今後、夏、秋、冬にも同町を訪れて舞台の方向性決めや脚本制作、稽古へと進んでいく。会場は訪れた地域に根差した場所で行われてきており、過去には収容人数50人程度の古民家で公演したこともあった。今のところは具体的なイメージはできておらず、これから太地町に何度も足を運び、暮らしながらイメージを練っていくという。昨年度の公演では、本番前日の町の人との会話が反映されたこともあり、本番ギリギリまで煮詰めていく。

 「遊学生」では脚本を作る際、人ごとで終わらず、現地の暮らしや営みを体感し、実際の行動で得られた経験や知識を生かすようにしている。今回、クジラの町である太地町を舞台とする以上、捕鯨文化は欠かせない要素だが、竹本代表は「何より描きたいのは〝人〟」と強調する。「伝統だから良いというわけではないのではないか。捕鯨の良い悪いという要素ではなく、クジラとともに生きて、暮らしている人たちの思いが重要。それを私たちのように外から見た場合、彼らのなりわいをどう表現するのかは難しいところ」と語った。

 今回の訪問を通じて、団員の皆さんは「太地町の人たちはとても温かく、パワーがすごい。家にも招いていただいた」「外部の人間に対して受け入れてくれるのか不安だったが、温かく接してくれて、話にも魂がこもっている」「町の歴史はもちろん、クジラとの関わりや自分の人生を話してくれた」などと話してくれた。

 竹本代表は今後に向けて「太地町の皆さんと一緒に作りながら、感じた思いを表現したい」と話した。

(2026年5月29日付紙面より)


別窓で見る
記事一覧

大屋一成町長(右)に油彩画「一枚岩」を託す矢倉甚兵衞さん=26日、古座川町役場本庁舎
地域 秋の一枚岩の油彩画を寄託
田辺市の画家・藤本花子さん
古座川町
【この記事のキーワード】
美術協会
串本中
 田辺市在住の画家、藤本花子さん(92)の油彩画「一枚岩」(2011年第58回田辺市展出品作品「秋の山峡」)が26日、古座川町へ託された。相瀬にある一枚岩を描いた作品で、大屋一成町長は「南紀月の瀬温泉ぼたん荘など広く町民にも目に付く所(=展示場所)を考えていきたい」と応えて感謝を示した。

 藤本さんは田辺市出身。すさみ町佐本の藤本家で養育を受け、大学を経て県教員となりすさみ町や串本町の学校で教育に献身した。専門は国語科だが美術科も受け持つことになり、串本町出身の画家・中村貞二(1908~92年)に師事して研さんを積みながらその指導に当たった。

 養父の山林を相続するため、52歳で林業家へ転身。70歳まで串本町内で暮らし、以降はふるさと田辺市へ戻り余生を過ごしている。美術の素養は愛好の域まで高まり、田辺美術協会へ所属し数々の作品を創出。少しでも自作を残したいという思いで林業家として家族ぐるみの付き合いがあり親しい串本町の矢倉甚兵衞さん(82)に相談し、矢倉さんは串本町や古座川町の光景を描いた作品2点の寄託先を見つけるべく奔走してきた。

 この日は藤本さんの代理で矢倉さんが油彩画「一枚岩」を持参して大屋町長を表敬訪問し、寄託を申し出た。大屋町長は感謝状を読み上げて矢倉さんへ託し、藤本さんへ届けてほしいと願った。もう1点は作品「樫野埼灯台と官舎」で、おととし11月に串本町立串本中学校へ寄託済み。矢倉さんは子どもがおらず行き場が定まらない藤本さんの作品を残す筋道を何とか付けられたと安心の表情を見せ、古座川町総務課の濱野悦子課長ら今回の寄託の仲立ちをしてくれた人への感謝をにじませた。

(2026年5月29日付紙面より)

もっと見る
折たたむ
別窓で見る

基金を活用して「那智の滝」源流域の保全に取り組んでいる
地域 那智勝浦町独自の基金で
「那智の滝」源流域を守る取り組み
【この記事のキーワード】
熊野那智大社
明治神宮
 落差133㍍を誇る日本一の名瀑(めいばく)・那智の滝。その美しい姿を将来にわたって守っていくため、那智勝浦町は2004(平成16)年、独自の「那智の滝源流水資源保全基金」を創設。世界遺産にも登録されている地域の宝の保全に取り組んでいる。

 同年7月、那智の滝に代表される那智山地域の熊野那智大社、那智山青岸渡寺、熊野古道、那智原始林が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。基金はこれらの歴史的文化遺産の背景となる大自然である「森」、特に那智の滝の源流域の保全管理を目的に、多額の費用が必要になる事業を将来にわたって円滑に実施できるように創設された。

 那智の滝の周辺の森には、水源のかん養(養成)、水質保全、土砂流出の防止のほか、癒やし効果や地球環境の保全といったさまざまな機能がある。しかし、森の多くが民有林・経済林となっている。高度経済成長期には建築用材として多くの木が伐採され、滝の水が少なくなり枯れることが危ぶまれた。これに危機感を持った町は、01(平成13)年に1億円の「ふるさと創生資金」や一般寄付などを積み立て、滝の保全に乗り出した。これが現在の基金の元となっている。

 那智の滝の源流域は約500㌶(5平方㌔㍍)あり、町全体の面積(約183平方㌔㍍)の約2・7%を占める。そのうち70㌶が国有林、熊野那智大社が10㌶、明治神宮が200㌶を所有しており、残りの220㌶は民有林。現在は山林所有者によって十分に管理されているが、町は美しい姿を守っていくため、基金を活用して傷んでいる木の伐採や流木の撤去などを行い、森の保全管理や原流域の保水力を高める取り組みを行っている。

 町内では那智の滝前にある飛瀧(ひろう)神社などに募金箱を設置し、活動への協力を呼びかけている。

(2026年5月29日付紙面より)

もっと見る
折たたむ
別窓で見る
主な記事 *記事詳細は熊野新聞紙面をご覧下さい*
  • 行政 大畑覚町長が引退表明 副町長など歴任後、3期12年 (御浜町)
  • スポーツ 「レベルアップしたい」 谷瀨将選手が県育成メンバーに (黒潮ミニバス)
  • 【この記事のキーワード】
    三輪崎小
  • スポーツ 4競技で身体能力育て すぽとれがマルチスポーツ (新宮市)
  • 【この記事のキーワード】
    新翔高
  • 地域 41団体が踊りを披露 新宮市で「南紀海彩まつり」
  • 地域 親子で触れ合いのひととき 本年度の育児講座始まる (新宮市)
くまスポ 【5月28日付紙面より】
  • 松本塾の6人が全国大会へ 7部門で上位入賞 (和歌山県空手道選手権大会)
ご購読・試読のお申し込み