和歌山県の「耕作放棄地再生活動協働モデル事業」が支援する那智勝浦町高津気(こうづけ)の「くまの里山」(西美恵子代表)は現在、高津気地内の古民家の宿泊施設への再生に取り組んでいる。建物の周りにある畑も整備し、〝収穫体験のできる民泊〟として年内の開業を目指している。
「くまの里山」は2007年に組織した「高津気竹灯りの会」が母体。メンバーは30~90代と幅広く、農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山保存の活動を展開している。
改装中の古民家は築150年ほどが経過している。この家の住人が離れてからも50年ぐらいたっており、今は所有者から譲り受けて地区住民の別荘代わりに使っている。
子どもたちの健やかな成長を願い、若い年齢のうちから五感を養ってもらいたいという思いから、畑で野菜を収穫し、それを調理して食べるといった体験を提供できる施設として活用することになった。そのため、メインターゲットは家族連れに設定している。
施設は木造の平屋で、4部屋、かまど(3基)トイレ2カ所、木の香りいっぱいの風呂(ジェットバス)を整備。各所に手すりも設け、バリアフリーにも配慮している。施設正面には巨大なハクモクレンの木があり、春の訪れ(3月上旬)に伴い真っ白な花を咲かせる。
改装は、一部を業者に頼み、〝DIY〟で可能な限り手作業で行い、2年かけて完了した。今後、保健所などに必要な申請を行ったり、民泊を営んでいる人からアドバイスを受けたりして開業への準備を整えていくという。
この地域は年中いろいろな花が咲く場所ということから、宿の名前は「さとのはな」に決めている。名前に使う文字として「里」は確定しているが「の」を平仮名、カタカナ、漢字のどれにするか、「はな」を花と華のどちらにするかは思案中。
西代表は「料理の指南役をやってくれるメンバーは高齢者で、地域の食文化を伝授できる人たち。宿泊する子どもは体験を通じて〝教育〟、メンバーはお客さんの所に行って交流する〝今日行く〟が両立する」と取り組みの意義を話している。
(2026年4月19日付紙面より)