熊野新聞記事アーカイブ
熊野新聞社 The Kumano Shimbun
〒647-0045 和歌山県新宮市井の沢3-6
営業部 TEL 0735-22-8080 FAX 0735-23-2246
記者室 TEL 0735-22-8325 FAX 0735-28-1125

芥川賞を懇願する太宰治の書簡
佐藤春夫の旧蔵資料1万点以上
新宮市へ遺族が寄贈
24日、実践女子大で受贈式典
 新宮市出身の作家、佐藤春夫(1892~1964年)の旧蔵資料が、遺族から新宮市立佐藤春夫記念館へ寄贈されることになり、受贈式典が24日(土)、東京都渋谷区の実践女子大学渋谷キャンパスで行われる。式典には遺族の髙橋百百子氏をはじめ、新宮市の上田勝之市長、佐藤春夫記念館の辻本雄一館長、実践女子大の難波雅紀学長、東京大学准教授で実践女子大客員研究員の河野龍也氏らが出席する。

 今回寄贈されるのは、春夫の原稿、書簡、挿絵原画などを中心とする資料群で、記録・保存のためにデジタル撮影された点数だけでも1万3000点を超える。

 中でも太宰治が芥川賞受賞を強く願い、選考委員だった春夫に宛てて送った書簡や、芥川龍之介、井伏鱒二ら文壇を代表する作家との往復書簡は、近代文学史を知る上で極めて貴重な資料として注目されている。

 寄贈品には、高村光太郎が若き日の春夫を描いた油彩画「佐藤春夫像」(1914年)も含まれる。この肖像画は現在、和歌山県立近代美術館に保管されている。資料一式は、春夫の長男・方哉(まさや)氏が保管していたもので、没後は遺族と研究者が実践女子大の協力を得て整理、調査を進めてきた。

 春夫は大正期浪漫主義を代表する作家として、「田園の憂鬱」で文壇に登場。詩と小説の両分野で活躍し、谷崎潤一郎、芥川龍之介をはじめ、太宰治、井伏鱒二ら後進にも大きな影響を与えた。文化勲章を受章するなど、近代日本文学をけん引した存在で、新宮市にとっても誇るべき文化人である。

 寄贈された資料は今後、新宮市に帰属し、今秋に移転開館予定の佐藤春夫記念館での展示活用が予定されている。また、実践女子大との連携により「佐藤春夫デジタル文庫」の開設も計画されており、故郷・新宮から春夫の文学と人脈の全貌を国内外へ発信していく。

 河野氏は「佐藤春夫記念館は(東京都)文京区関口にあった旧邸を移築して1989年に開館したもの。近代文学を代表する作家の貴重な資料をこれだけの規模で散逸させずに保管されてきたご遺族の努力に敬意を表したい。今回の資料から、文学と美術の垣根を越えて芸術活動に取り組んだ春夫の全体像がさらに明らかになっていくことに期待したい」とコメントしている。

(2026年1月23日付紙面より)



別窓で見る
注目キーワード|Keywords

記事一覧

ダンスを披露する園児たち=20日、太地町地域福祉センター「梛」
地域 4、5歳児が歌やダンス披露
デイサービス利用者と交流会
太地こども園
 太地町立太地こども園(脊古有希子園長)の園児と、同町社会福祉協議会のデイサービス利用者との今年最初の交流会が20日、同町地域福祉センター「梛(なぎ)」であった。4、5歳児21人が利用者20人の前で歌やダンスを披露、一緒に手遊びを楽しんだ。コロナ禍により長年中断していたが、本年度から復活し、月1回開催している。

 歌のプレゼントから始まった。「朝の歌」「北風小僧の寒太郎」など数曲を披露、利用者は園児たちの元気な声に目を細め、拍手を送った。

 「アヒルのダンス」「エビカニクス」などの踊りの発表では、動きに合わせた手拍子で園児たちと盛り上がった。

 最後の手遊びでは園児たちが利用者と一緒に、「かんぱい手遊び」「げんこつ山のタヌキさん」を楽しんだ。「げんこつ山のタヌキさん」の最後のじゃんけんでは会場から「勝った」「あいこでしょ」などの楽しげな声が上がっていた。

 楽しい時間はあっという間に終わり、バスに向かう園児たちに利用者が「また来月ね」と声をかけると、全員が笑顔で応え、手を振っていた。

(2026年1月23日付紙面より)

もっと見る
折たたむ
別窓で見る

大辺路の美化整備に取り組んだ「なちかつ古道を守る会」の皆さん=21日、那智勝浦町湯川のゆかし潟近辺
地域 大辺路四つの峠を美化整備
なちかつ古道を守る会
 「なちかつ古道を守る会」(細見三郎会長)は21日、那智勝浦町にある世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である大辺路の四つの峠で、今年最初となる美化整備活動を行った。会員10人が参加、峠の道が少しでも通りやすくなるよう手を入れた。

 24日(土)開催の「わかやま世界遺産地域交流会」に向けて実施。

 県が主催し、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に関わる地域(高野山・熊野・吉野・大峯地域など)の保存・活用団体や語り部などを対象に、地域間の理解、連携を促進し、保全意識の向上と活動の研さんを図るための研修・交流事業で、今回は大辺路が会場となる。

 同町湯川に集合した会員たちはグループに分かれ、それぞれ清水峠、浦神峠、市屋峠、二河峠に移動、美化整備を行った。浦神峠では、イノシシが餌を求めて掘り返した跡が至る所で見つかり、会員たちはそれらを鋤簾(じょれん)などで一つ一つ埋め戻していった。倒木が道をふさいでいる場所もあった。最近倒れたらしい生木に近い倒木をのこぎりで分断し、処分した。

 各グループとも1時間ほどで作業を終了。集合地点に再度集まり、お互いに作業の模様を報告しながら、一働きした後の昼食を楽しんだ。

 細見会長は「毎月作業しているが、そのたびにイノシシなどに道を荒らされる。初めて大辺路に来た人に少しでも通りやすい道を提供するため、会として今後も続けていく」と語った。

(2026年1月23日付紙面より)

もっと見る
折たたむ
別窓で見る
主な記事 *記事詳細は熊野新聞紙面をご覧下さい*
  • 行政 期日前投票始まる 鵜殿地域交流センターで (紀宝町長選・町議補選)
  • 学校 5年後の再編成を念頭に 基本方針案まとめる (紀宝町立学校の適正規模・適正配置検討委)
  • スポーツ 楽しく走り昨年以上の成績を ジュニア駅伝の練習大詰め (太地町)
  • 地域 17企業のブースに66人 3年目の「合同就職説明会」 (紀宝町)
  • 【この記事のキーワード】
    商工会
  • 地域 音色響くやさしい調べ 高田交流センターで音楽会 (新宮市)
  • 地域 芽が緩み点々と咲き進む 樫野埼灯台周囲のサクラ (串本町)
  • 地域 芝焼きなどの企画にぎわう 潮岬で本州最南端の火祭り① (南紀串本観光協会)
  • 【この記事のキーワード】
    火祭
  • 教育 お正月遊びで園児と交流 周辺地域から20人が来園 (下里こども園)
  • 警察 詐欺防止をたたえ感謝状 ローソン串本町高富店へ (新宮警察署)
くまスポ 【1月21日付紙面より】
  • 頂点目指し日頃の成果競う 県スポ少総合大会空手道競技
  • トルベリーノが連覇 和田禎佑杯サッカーU―9
ご購読・試読のお申し込み