串本町が4日、町立橋杭小学校(溝内聡子校長、児童25人)の協力を得てクエの稚魚約2000匹を放流した。
資源増強を目的として例年、クエの放流事業をしている同町。本年度も9月に稚魚約6000匹を放流したところだが、その仕入れ先である県栽培漁業協会南部栽培漁業センターから今年は生残率良好で稚魚の余剰が出たため例年のつながりの延長で寄贈したい旨の相談を受けた。
この事業を担当する町産業課の松山心太郎さんは子どもの体験へとつなげることを考え、放流場所を橋杭園地と設定し最寄りの橋杭小に協力を要請。橋杭小は全校児童で協力すると応え、放流するに至ったという。
この日は同センター生産技術部部長補佐の中村和矢さんら職員が同園地の南側にある磯場まで稚魚を運び、児童は預かったバケツで海水と稚魚を小分けし波打ち際まで運んで放流。約2000匹全部を串本の海へ送り出すまで協力を続けた。中村さんによると稚魚は6月初旬に生まれ、以降放流するまでの半年間で12㌢前後まで成長。冬場は成長が鈍るが、数年ほどで漁の対象となる大きさまで育つという。
放流は初体験という高野叶愛さん(6年)は「怖かったけど黒々としているところはかわいいなと思いました」と稚魚の印象を語り、串本の海で放流の目的である資源増強に資する大きさまで育つことを願った。松山さんは「これまでにもヒラメなどの放流で子どもに協力してもらったことがある。串本は漁業のまち。資源増強はもちろん、この体験が子どもたちの漁業への関心を強め将来の担い手の育成にもつながれば」と思うところを語った。
(2025年12月6日付紙面より)
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