東牟婁振興局地域づくり部地域づくり課が2日、那智勝浦町下里の地域交流複合施設「汽ノ舎」で「地域づくり研修交流会」を開催した。地域づくりに関心のある活動団体や行政職員、個人など、15人が参加。活動事例の報告やグループワークを通じて意見や知識を交換し、互いの交流を深めた。
個人、あるいは団体の自主的な地域づくり活動の促進が目的で、昨年度に続く2度目の開催。
2部構成で進められ、前半は一般社団法人「あたらしいふるさと下里」代表理事の岩倉昂史さんと、「熊野古道大辺路刈り開き隊」隊長の上野一夫さんが、それぞれの活動事例を報告した。
岩倉さんは「汽ノ舎」の運営を開始した経緯を述べた。産業衰退や、高齢化、人口減少の現状から、行政依存のまちづくりは困難と判断、自主財源で持続する地域コミュニティーの仕組みづくりが必要とし、元農協の建物を活用することを決意。食、物販、イベントなどを軸に、これまで開催した各種イベントなどの実績を解説した。
上野さんの報告では「熊野古道大辺路刈り開き隊」の発足からこれまでの活動実績の説明があった。2004年、修験道の修行道を歩く「大峯奥駆」や地域で知り合った仲間で発足。古道の整備を中心に絵地図やガイドブックの作成、自然観察会やウオークイベントを開催してきたこと、この活動が認められ、県の補助金を得て不法投棄された30㌧以上のごみが撤去できたことなどの実績が話された。
休憩を挟んでのグループワークでは「廃校を活用した地域交流拠点づくり」を3グループに分かれて議論した。天体観測所、魚の養殖場、地域の祭典で使用する神具の保管場所など、さまざまな案が出され活発な議論が行われ、最終的にまとまった案をグループごとに発表。参加者全員が互いに刺激を与え合う有意義なひとときとなった。
(2025年12月4日付紙面より)