深海のエネルギー資源「メタンハイドレート(MH)」の採掘と事業化実現に関する講演会が16日、新宮市の丹鶴ホールで開催された。MHの新しい採掘法の特許を取得している杉本昭壽さん(株式会社みかづき代表取締役社長)が、MHの解説と新機軸の採掘法、当地域を「日本のドバイ」ともいうべきエネルギー資源拠点とする構想などを紹介した。
MHとは、天然ガスの主成分であるメタンガスが閉じ込められた氷状の物質。極低温かつ高圧の環境で形成されるため、主に海底や永久凍土の下に存在している。
日本の太平洋側では、水深1000㍍以上の海底面から数百㍍地下の砂の層に存在し、南海トラフ周辺などに広範囲かつ膨大な量が埋蔵されている。
杉本さんは現在、高知県内を拠点にMH採掘や利用についての講演や提案、行政・関係機関との協議を行っている。
今回の講演は杉本さんの活動を知った那智勝浦町の西太吉さんらが中心となった。新宮・東牟婁地域がMH開発に適した環境であることや杉本さんの技術の周知を図り、地元にMH採掘への関心を高めるために企画した。
約40人の参加者に杉本さんは、周囲の圧力を下げてMHをメタンガスと水に分解・気化させる従来の採掘法「減圧法」について解説。分解・気化の際に発生する「吸熱反応」で温度が低下して分解が鈍化、さらに水分の凍結により採掘機器が動かなくなるなど、継続的な採掘が困難なこと、MHの吸い上げで地盤沈下が発生するなどの欠点を指摘した。
これに対して杉本さんの「先端加熱法」は、MHにセメントを注入、主成分の石灰と水分の化学反応により発生した熱で凍結しているMHをガスと水に熱分解するというもの。
水分が凍結せず、注入したセメントがそのまま採掘後の空洞などを補強する長所があり、さらに地底深部を掘り抜くシェールガスなどの発掘技術が流用できるため、既存の技術だけでほぼ実現可能だという。
「手品のタネというのは明かしてみれば何ということはないもの。私の技術は自然の物理を利用しているだけで、画期的なものではない」と語り、これにより従来の採掘法より大幅なコスト減が見込め、商業化に向けたハードルが下がることを力説した。
出席者は講話を聞きながらメモを取り、採掘後のガスの保存法などについて質問していた。
(2026年10月21日付紙面より)