串本町樫野に本社を置く弁天前定置水産株式会社(福島雄一代表取締役)が18日、町へ書籍「紀伊大島 樫野定置網の魚」の寄贈を申し出た。町立小中学校へ各3冊、町図書館へ5冊を配分する予定で、福島代表取締役は「串本町にはどんな魚がいるのかと聞かれたときに答えられるようになり、串本町を自慢できる人になってほしい」など寄贈に込める思いを語る。
須江にある京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション紀伊大島実験所を管理するため魚類に詳しい甲斐嘉晃准教授が月例で訪れるようになり、その機会へ福島代表取締役が樫野の定置網で水揚げされる魚を記録として残してほしいと提案したことがきっかけ。甲斐准教授は県水産試験場の御所豊穂主任研究員に共著の協力を求め、同社社員の協力も得て308種類の魚を記録し、同社と同センターを発行元として書籍化し昨年10月1日付けで発行した。
B5判フルカラー112㌻構成で、作成数は100冊。非売品扱いで発行以降は社員と関係先へ配っていて、半数を町へ託すとして寄贈を申し出るに至った。
この日は福島代表取締役が田嶋勝正町長を表敬訪問し、現物を寄贈。田嶋町長は「素晴らしい物を作っていただき、後世に大きく残ると思う。僕も67年住んでいて魚が多いとは聞いていたが、この本を読ませていただいていろいろな魚種がいることが初めて分かった」と応え申し出に感謝するなどした。
福島代表取締役は、体系的に分析されていて魚の違いがよく分かり漁業者にとってもありがたい書籍だと自負。「黒潮の大蛇行が終わって流れが変わり、今後は南方系の新たな魚が定置にかかるようになると思う」と今後を見据え、引き続き魚種の調査を続けて改訂版へとつなげていきたいと思い描いている。地元の大島小児童へ卒業記念で贈ることも考えているなど地域への思いに加え、この書籍が魚種の変化を把握する一資料として後世に役立つこと、魚種の認知を深めて知られていないために市場で値が付かず、食べられるのに売れないもったいない魚種を食用として広めることにもつながればと期待した。
(2026年2月20日付紙面より)
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