太地町生涯学習講座「学芸員とめぐる企画展もったいないから生まれるもの―クジラのアップサイクル―」が22日、太地町立くじらの博物館であった。12人が参加、水産資源としてのクジラの歴史と現状、新たな価値観を求める取り組みなどを学んだ。
同博物館学芸員の中江環さんが講師を務めた。
中江さんは、日本人とクジラの関係について「クジラは捨てる所がない、と言うほど日本人の暮らしの中で重要な役割を果たしてきた」と説明。肉、鯨油、皮、歯、ひげなどの部位を食用から工芸品、薬品まで実際にどのような製品にしていたか紹介した。
その上で19世紀に米国で石油が発見されて以降、捕獲のコスト面と漁獲規制などから鯨油産業は衰退、他の加工品産業も安価な代替品によって下火となり、日本でもクジラの資源としての価値が低下していったと解説した。
現在は加工の際に出る鯨油などの廃棄を「もったいない」とし、新たな利用法を模索する動きのあることにも触れた。
講義後、参加者は館内に展示してある鯨油やせっけん、マーガリンやテニスラケットの網の部分(ガット)など過去に製造されていた製品を見て回った。クジラの新たな利用法の取り組みとして、鯨油の欠点である独特の臭気を化学的に解決したせっけんや、油彩絵の具として利用しているアーティストの作品なども見学した。
最後に全員で鯨油の搾油を体験。アルミカップに入れた脂肪付きのクジラの皮をホットプレートで熱し、出た鯨油を容器に入れて持ち帰った。
参加した女性は「中江さんのお話がとても分かりやすく、展示品を見ながらの説明も良かった。おみやげにもらった鯨油を眺めながら、新しい使い道はないか考えてみたい」と話していた。
(2026年3月28日付紙面より)
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