那智勝浦町の下里地域振興協議会は14日、下里こども園1階ホールで下里まちづくり会議を開いた。講演会と参加者同士によるグループワークの2部制で行われ、下里地区の現状と今後に関するさまざまな意見が飛び交った。
協議会は那智勝浦町、町教育委員会、下里アーカイブス実行委員会の後援の下、下里地区が抱える課題を共有し、下里の未来を考えることを目的としている。
講演会では、NPO法人いんしゅう鹿野まちづくり協議会副理事長の小林清さんが「大切なものを守り、新たなものを創り出す」をテーマに講演。地元の鳥取県鹿野町で人口減少や町村合併といった状況を受け「子どもたち、孫たちが帰ってきたくなる町」を目指して取り組みをスタートしたことを紹介した。
「地域の未来を考える」を念頭に、若い世代と共に作り上げたイベントや、移住者の受け入れ先確保のために始めた空き家活用の事例から現在の空き家事業の詳細など、具体的な事例を交えて話し、その後質疑応答が行われた。
参加者から地域づくりの始め方について質問があり、小林さんは「最初の1~2年は組織づくりに時間をかけていたが、誰でもいいからやりたい人をリーダーにして、それを応援する形に変えたら進んでいった」と答えた。「学生だから、というようなことではなく、フラットな関係性」を重視し、地域のためになることを続けていくことの大切さを語った。
グループワークでは「15年後の下里の姿は?自分たちにできることは?」と題し、3グループに分かれて意見交換をし、最後にそれぞれ発表した。参加者は、文豪佐藤春夫の父の生家「懸泉堂」や自然豊かな土地、地区ごとに続いているお祭りなど、下里の魅力をピックアップしつつ、少子高齢化が進む現状や空き家・耕作放棄地が増加している状況を踏まえた15年後のビジョンを考えた。
参加者からは「下里の良いところを点だけではなく面で見ることが大事」「自分たちが当たり前に感じていることが伝わっていないから、まずは下里を知ってもらうことから」「サーフィンで移住してきた人のおかげで祭りが継続できている。内と外の連携が必要」など、15年後の下里を見据えた活発な意見が飛び交った。
(2025年12月17日付紙面より)