和歌山県立新翔高校(宮井貴浩校長)で11日、「LGBTQ人権講座」があった。全校生徒227人が、生まれ持った体と心の性が異なるトランスジェンダーの当事者、丸山都さんの講話から、性の多様性を学んだ。
同校では人権に関する活動を毎年実施しており、今回の講座もその一環。最初に丸山さんは生徒たちに「好きな色は?」と問いかけ、性的指向について▽レズビアン(女性同性愛者)▽ゲイ(男性同性愛者)▽バイセクシュアル(両性愛者)▽アセクシュアル(無性愛者)▽ヘテロセクシュアル(異性愛者)―など多様な人々がいることを説明。性自認についても、Xジェンダー(男性でも女性でもない)、シスジェンダー(体の性と心の性が一致している)、クエスチョニング(性が決まっていない)といった言葉を解説した。
性には四つの軸があるとし、友人や家族の写真から、その人が持つ心や体の性、好きになる性、表現する性、それぞれの軸を当てるクイズを実施。全ての性が好きな女性、男性を好きで外見を日によって変える男性、男性を好きで女性的に表現する人など、多様性の実例を提示、外見から判断できないことも示した。
自身の経験として、幼い時から女子と扱われる違和感、中学高校での制服強制、教員時代の恋人の性別を隠す会話や更衣室などの性別固定にストレスを感じ、世界一周を決意したこと、旅先で出会った同性婚のカップルから、真の姿を誰にも打ち明けられない悩みに「自分自身が自分のことを一番気持ち悪く思っているのでは」と指摘され、これまでの自己否定が自身に対する偏見だと気付けたことなどを語った。
最後にはLGBTQに理解や支援を示す「アライ」の概念を紹介。レインボーステッカーや虹色アイテムで自分が安全な相談相手であると示し、当事者が話しかけやすい理解者となってほしいと呼びかけた。
(2025年12月14日付紙面より)