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200人以上の人々が参加=14日、新宮商工会議所会館
大逆事件と世相、権力の思惑
東大人文・熊野セミナー
新宮市
 新宮市教育委員会と東京大学大学院人文社会系研究科が14日、新宮商工会議所会館で東大人文・熊野セミナー「歴史のなかの大逆事件 近代の天皇の身体性の観点から」を開催した。200人以上が参加、同研究科の加藤陽子教授による大逆事件と当時の世相、権力側の思惑などについての講話に耳を傾けた。

 大逆事件とは、明治天皇暗殺計画の明科(あかしな)事件を発端に、政府が全国の社会主義者や無政府主義者を逮捕、起訴し、死刑や無期、有期刑判決を下した事件。熊野地域では大石誠之助など6人に死刑や無期懲役の判決が下った。

 加藤教授は、1911年1月18日、24人に下った本事件の死刑判決を、翌19日、明治天皇の「聖慮(せいりょ)」により、半数の12人を無期懲役としたことに触れ、「半数」という非常に人工的で不自然な区切りの減刑は、天皇の補佐役として絶大な影響力を持った元老、山県有朋の筋書きだったとする資料を示した。

 財源確保のため1900年に選挙法が改正され、選挙権獲得の納税額が15円以上から10円以上へと引き下げられた結果、選挙権を持つ人が急増。これにより、山県の想定外の人々が政治に関わり、社会主義、無政府主義などの思想や政府への要求が噴出、対する山県は非常に厳しい姿勢で臨み、大逆事件などの弾圧の引き金となったことを話した。

 体調悪化が原因で会議中に居眠りをした明治天皇に対し、軍刀の先で床をたたいて目を覚まさせ、威厳を正させたという記録から、山県は体制維持のため、天皇を「肉体を持つ存在」ではなく、天皇制のような「理念としての存在」でしか受け付けなくなったのでは、とも論じた。

 加藤教授はこのほかにも犠牲者たちの思想など、大逆事件と当時の歴史的背景を、さまざまな角度から語った。

 休憩後は大学院人文社会系研究科教授でもある秋山聰副学長を司会に、加藤教授、同研究科の鈴木泉教授、「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」の辻本雄一会長(新宮市立佐藤春夫記念館長)らの総合討議があり、熊野地域の大逆事件犠牲者と名誉回復に関する各種解説、加藤教授の講話について討議を行った。

(2025年12月16日付紙面より)



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初日の点灯イベントの様子=13日、串本町くじ野川の橋杭園地
地域 「くしもとイルミ」始まる
橋杭園地で1月12日まで
串本町
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串本古座高
 串本町くじ野川にある橋杭園地で13日、趣向「くしもとイルミネーション2025」が始まった。来年1月12日(月・祝)までの実施で、日没~午後9時に点灯するという。

 この趣向はくしもとイルミ実行委員会主催、株式会社人見建設協賛。同社と県立串本古座高校CGS部の連携企画として2年前に始まり、その趣旨に賛同する輪が広まり現在は実行委員会を立ち上げて回を重ねる形となっている。

 3回目となる今回は、橋杭海水浴場駐車場~橋杭園地駐車場間約300㍍のマツ林に青と白の発光ダイオード(LED)電飾の小道を作り、その上にランタン、周囲にあずまややショベルカーをキリンに見立てたオブジェなどを並べた定番の構成に加え、高さ約3㍍のサンタとさらに高いクリスマスツリー、約1万球のLED電飾で仕立てたフォトスポットが新たに登場。約11万球規模の会場に仕上がっている。

 初日は町内の園児が作ったペットボトルライトや和傘イルミネーションも並べ、なんき朝市が異例の夕市を開くなどして来場を誘いつつ点灯イベントを実施。子どもへお菓子を配った「ひとみサンタ」と一緒に午後5時過ぎにカウントダウンをして主電源を入れ、来場者は夕闇が深まる中、徐々に際立つイルミネーションの数々に見入り、スマートフォンなどで撮影を楽しむなどした。

 ペットボトルライトは2日目以降も当面設置する。期間中はフォトコンテストを実施するとし、インスタグラムで株式会社人見建設をフォローし「#くしもとイルミ2025フォトコン」を付けて趣向の魅力が伝わる作品を応募する仕組み。締め切り後は選考をし、優秀賞5人に町の特産品を贈呈するという。

 実行委員長を務める同社の人見翔代表取締役社長は「今年で3年目。やるたびに期待の声を頂いて、年々パワーアップしています。期間も年明けまで延ばしたので、大勢の皆さんに良い年を迎えられるよう楽しんでいただけたら何より。もちろん来年以降も続けていきます」と話し、期間中の鑑賞を誘っている。問い合わせは同実行委員会(電話0735・62・7237、同社内)まで。

(2025年12月16日付紙面より)

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来年の干支「丙午」の大絵馬を掲げた=15日、熊野那智大社
地域 来年の干支「丙午」に
大絵馬かけ替え迎春準備
熊野那智大社
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熊野那智大社
 熊野那智大社の男成洋三宮司が自ら描いた、来年の干支(えと)「丙午(ひのえうま)」の大絵馬のかけ替え作業が15日、同大社であった。宝物殿前に大絵馬を掲げ、迎春準備を整えた。

 大絵馬の大きさは、縦が約2・6㍍、横が約3・6㍍。背のくらに御幣を乗せた白馬が前足を上げ、走り出そうとする姿が描かれている。左上には那智の滝と朝日が配され、右側には「開運招福」の文字が書かれている。11月末から描き始めたという。

 男成宮司は「白馬は神様の使いとして神聖視される。御幣を乗せて躍動する姿を描いた。大絵馬の白馬に参拝客の皆さんの願いを乗せて、神様にお届けしてもらえたら。来年は運を開き福を招く、飛躍する一年になることを願う」と話した。

 なお同日、JR西日本に対する、新宮駅と紀伊勝浦駅に掲げる絵馬の贈呈も行われた。こちらの大きさは縦が約0・9㍍、横が約1・2㍍。デザインは大絵馬と同じだが、文字が「道中安全」となっている。

(2025年12月16日付紙面より)

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