最近大ブームの「マーラータン」。
あのマーラータンに必ず入っている食材、キクラゲについて、今日はお話しようと思います。なかなか家庭の食卓では主役になりにくい食材ですが、乾物としてはおなじみで保存が利き、最近ではスーパーでも生キクラゲが普通に売られるようになりました。このキクラゲ、実はとても優秀なスーパーフードなんです。
今日はキクラゲのすごいところを三つお伝えします。
まず一つ目は、食物繊維がとても豊富なこと。乾燥キクラゲには、100㌘当たり約57㌘もの食物繊維が含まれています。これは野菜類の中でもトップクラスの量です。(文部科学省『日本食品標準成分表〈八訂〉増補2023年』)食物繊維は、腸内環境を整え、便通を助け、血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。現代の子どもは、食の欧米化や加工食品が増えたことで、食物繊維が不足しがちだといわれています。また、食物繊維は善玉菌の餌にもなり、ヨーグルトなどの乳酸菌を取ったときの働きにも関わります。つまり、いつもの料理にキクラゲを少し加えるだけで「腸にやさしい一品」に変わるというわけです。
二つ目は、よくかむ力を自然に育ててくれること。キクラゲの特徴といえば、コリコリした食感。この食感がかむ回数を自然に増やしてくれます。よくかむことは、満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐことにつながるとされています。(厚生労働省『よく噛んで食べよう』食育啓発資料)「よくかみなさい」と言葉で伝えるよりも、かみ応えのある食材を食卓に出す方が、子どもには伝わりやすいもの。味に癖も少なく、食べやすいので、キクラゲは「頑張らなくても〝かむ力〟を育ててくれる」食材です。
三つ目は、骨の成長を支えるビタミンDが豊富なこと。キクラゲは乾燥や日光に当てることでビタミンDが増え、キノコ類の中でも含有量はトップクラスです。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の形成に欠かせない栄養素です。(厚生労働省『日本人の食事摂取基準2020年版』)成長期の子どもはもちろん、高齢の方にとっても、骨の健康を支える大切な栄養素の一つです。
キクラゲは、食物繊維やビタミンDが注目されがちですが、実は鉄分やカリウム、マグネシウムといったミネラルも含んでいます。鉄分や葉酸は血をつくる働きに関わり、カリウムは体の余分な塩分を外に出す役割を担います。どれも量は控えめですが、日々の食事に少しずつ取り入れることで、体を内側から支えてくれます。癖のない味わいで、どんな料理にも合わせやすいのもキクラゲの魅力。おみそ汁や炒め物、和洋中どの味付けでもおいしく食べられます。ぜひこの冬、体のためにキクラゲを取り入れてみてください。そして、食卓で少しでもこの記事の話題に触れていただけたら、うれしいです。
(2025年12月20日付紙面より)
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