宮﨑泉和歌山県知事が県民から現状や課題を直接聞く「タウンミーティング」が11日、新宮市の東牟婁総合庁舎であった。市内の商工、観光、福祉など、さまざまな分野で活躍する10人が参加、地域の現状や課題について、宮﨑知事と意見交換した。
知事が直接県民の声を聞き、その考えを県政に生かすことが目的。2023年1月からこれまでに、県内各所で54回実施している。今回は4月の開催を予定していたが、岸本周平前知事の急逝により中断。宮﨑知事にとって就任後、初の開催となった。
宮﨑知事のほか県地域振興部長、県東牟婁振興局長も同席。教育や福祉の関係者からは「重症心身障害児とその家族に向けた制度の地域格差改善を県政にお願いしたい。検討には当事者たちの意見を取り入れてほしい」「教育や保育活動を行う上で必要な資格を取得、維持するための講習会や研修が和歌山市でしか行われない」などの意見が上がった。
観光関係からは「個別の地域ではなく、熊野全体をカバーできるガイドの育成やその制度を考えてほしい」という要望、県外から移住して観光に携わっている参加者からは「川下り舟の船頭がシーズンオフに収入を得る手段など生活手段としての観光業の成立も課題」との意見も出た。
熊野川地区の参加者からは、通学や買い物など、困難な子育て環境の実情を訴える声のほか、国道168号で事業休止中の「仮称2号トンネル」で出た、有害物質を含む残土処分に言及があった。
子どもや高齢者の行事、地域住民の交流に欠かせない「若者広場」への盛り土処分について「8日の説明会では納得できなかった」という意見に、宮﨑知事から「今後も話し合いの機会を持ち、さまざまな角度から検討していきましょう」との呼びかけがあった。
終了後、宮﨑知事は「初めて機会を持ったが、さまざまな立場の方からの話を聞けた。県政に生かしていきたいし、参加者同士の話し合いを持ったり、テーマを絞ったりと取り組み方を変えることはあるかもしれないが、今後も皆さんの話は聞いていく」と語った。
(2025年9月13日付紙面より)