那智勝浦町のブルービーチ那智で6日、「第1回海の学校」と「ユニバーサルビーチ体験会」が開かれた。どちらも初開催のイベント。地域内外から医療的ケア児や重症心身障害児者を含む大人から子どもまで、計100人以上が参加し、海水浴やサーフィンを通じて、自然を楽しんだ。
一般社団法人海の学校(堀口真平代表)、和歌山県サーフィン連盟(梅本利樹会長)、NPO法人near(加藤亜里沙理事長)、NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト(木戸俊介代表理事)などが共催した。
プロ・アマのサーファーやボディーボーダー、海を愛する人々で結成する「海の学校」は、全国の海でマリンスポーツ体験を提供。今回は串本町出身のプロサーファー堀口代表の縁で、那智勝浦町で初開催した。
サーフィン体験には町内外から40人の子どもと保護者が参加。紀宝町から来た須川玲音さん(8)は「ボードの上に立つのも、心臓マッサージの体験も楽しかった」と笑顔を見せた。堀口代表は「初めてのサーフィンで、少し怖いけれどわくわくする気持ちが子どもたちの全身から伝わってきた。浜辺の清掃も行い、人を育てることで未来につなげたい」と語った。
ユニバーサルビーチ体験では、浮き付きの専用車椅子などを用意し、地域の医療的ケア児や全国から公募した重症心身障害児者を招待。40人以上のサポーターが参加し、砂浜にシートで通路を準備。障害の程度に応じて呼吸器の運搬や介助も行い、誰もが安全に海を楽しめるよう支援した。
串本町から参加した藤野悠希さん(20)は波に揺られ笑顔に。母の貴子さんは「お風呂も好きで、浮いた感覚が楽しかったよう」。父の等さんも「車椅子では砂浜に下りるのも難しい。ぜひまた参加したい」と語った。
nearの加藤理事長は「地域の自然は、身近でありながら、私たちにとっても遠い存在。海に入るのは大きな挑戦で、家族だけでは実現できなかった」と支援者に感謝。須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの古川尚子さんは「『リスクを冒さなくてもいい』と言う人もいるが、今日ここにいる方々の笑顔を引き出せたのは、海という自然のパワーにつながることができたからこそ」と話していた。
(2025年7月8日付紙面より)