那智勝浦町立色川小学校(沖平和生校長)で10日、和歌山県脱炭素政策課と那智勝浦町住民課による初の「脱炭素出前授業」が開かれた。3~6年生11人が、地球温暖化の仕組みや、町が行った「ゼロカーボンシティ宣言」の意義、自分たちにできる脱炭素の取り組みについて考えた。
県脱炭素政策課の中尾由理さんは、世界の平均気温が過去100年で0・76度、日本では1・35度上昇し、2024年は日本の観測史上最も暑い年となっている現状を紹介。「地球温暖化とは、人間の影響によって地球全体の平均気温が上昇すること」と説明した。
「温室効果ガスがなければ、地球の平均気温はマイナス17度程度になるとされており、決して『悪いもの』ではない。増え続けていることが問題」と言及。気温上昇の影響として、「和歌山県の特産品であるミカンでは、果肉と皮の間が分離する『浮皮』が増え、商品価値が下がる。梅でも、暖冬の影響で実がつかない『不完全花』が増加する恐れがある」と述べた。
町住民課の寺地さり副課長も講話。町が20年12月に県内で初めて行った「ゼロカーボンシティ宣言」について「50年までに二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡させ、実質ゼロ(カーボンニュートラル)になるよう目指している」と説明した。具体的な取り組みとして▽ごみの削減▽太陽光発電など再生可能エネルギーの導入▽省エネ製品の導入補助―などを挙げた。
16年に完成した色川小中学校の校舎には紀州材を含む木材が多用され、LED電球の使用など、環境に配慮した設計となっていることも紹介した。
自分にできる脱炭素行動を考えるワークショップでは、児童から「近くは車ではなく自転車で移動する」「電球をLEDに交換する」「自家発電をする」「物は壊れるまで使う」などの意見があった。
授業後には児童が、県が公用車として導入した、水素を燃料とする燃料電池自動車を見学。静かな走行音やエンジンルームの構造の違いなどにも関心が寄せられていた。
家村莞佑さん(10)は「町や県がエコに取り組んでいることが分かった。ごみを減らして、できることから始めたい」と語る。
(2025年7月12日付紙面より)