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問題の場所とされた電源開発の十津川第二発電所=16日、新宮市熊野川町相須
熊野川濁水に痛烈意見
漁協関係者が電発に対し
流域連合会の運営苦言も

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連合会
十津川
 熊野川流域対策連合会(田岡実千年会長=新宮市長)が2月に行った電源開発株式会社(電発)への要望に対する回答が16日、新宮市の丹鶴ホールであった。質疑応答で漁協関係者から、電発の濁水や同連合会の運営に対する痛烈な意見が寄せられた。

 同連合会は和歌山、三重、奈良の3県にまたがる熊野川流域の市町村や議会、漁協の代表者などで組織する。電発は熊野川流域で五つのダムと水力発電所を運用している。当日は同連合会の総会があり、その後に要望への回答が行われた。

 質疑応答で漁協関係者は「去年あたりから(十津川第二)発電所からの水が汚くひどい。この状態では水生昆虫や水生生物は生きられない。海まで流れている」と訴えた。

 電発は「やり方を変えたなどは一切ない。変わったとは認識できていない。どういう事態か確認させて話をさせてもらえれば」と応じた。

 また、同連合会からの要望に漁協関係者の意見が反映されていないと批判。「現場の声が一つも上がっていない。バイパストンネルはうちの組合は絶対に駄目。現場の人間を理事会に入れないと」と声を上げた。事務局は「要望書の作成協議の方法は検討する」とした。

 資料配布が当日であることにも苦言。「1週間前に」と求めた。事務局は「可能な範囲で対応したい」と述べた。

 電発による要望の回答では、「堆砂対策」は「堆砂排除数量の増加を目指す」とした。「人命を最優先としたダム運用」には「国や流域関係者と連携した取り組みを継続」と答えた。

 「熊野川の環境対策」は「継続的な改善を行う」と伝えた。「赤潮対策」は「曝気(ばっき)装置による対策や紫外線照射を実施」と明かした。

 総会では、本年度事業として▽国および3県など関係機関との熊野川流域に関する協議▽関係機関への要望活動▽熊野川流域の調査研究―などに取り組むことを決めた。

(2025年7月18日付紙面より)


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宮本遥菜さん(左から4人目)と南紀くろしお商工会青年部の皆さん(宮本さん提供)
地域 宮本遥菜さんが最優秀賞
商工会青年部主張大会で
南紀くろしお商工会
 南紀くろしお商工会青年部の副部長、宮本遥菜さんが14日、白浜町で開かれた「商工会青年部主張発表・和歌山県大会」で最優秀賞を受賞した。青年部活動を通じた経験や自身の成長などを語り、9月に京都市で開かれる近畿大会への出場権を得た。

 若手経営者や後継者としての資質向上を目的に、和歌山県商工会合会が主催。県内6ブロックから代表が出場した。

 東牟婁ブロック代表として登壇した宮本さんは広島県出身。かつては大阪府の企業の営業職として和歌山県を担当しており、「出張のたびに和歌山の魅力に引かれ、入社6年目で脱サラ。この町が好き過ぎて、一人で移住してきた」と話した。

 その後、得意とする動画編集を生かしてクリエイター業を始めたが、知人も少ない中で「地域の輪に引き込んでくれたのが商工会青年部だった」と振り返る。青年部が主催する「なちかつ夏まつり」の会議に参加した際には、地域経済を担う同世代の経営者たちと知り合い、人脈が一気に広がったという。

 現在も得意の動画編集や情報発信で青年部活動に関わっており「みんなすごくいい人たちで、活動が楽しい」と語った。

 近畿大会では全国大会出場を目指し、「県内の他ブロックの方々も巻き込んで、応募してもらえるように頑張る。内容や話し方もさらに磨きたい。町のアピールにもつながる」と意気込む。

 商工会青年部では部員を随時募集しており、「少しでも興味があれば、気軽に商工会に問い合わせてほしい。部員を増やして、もっと楽しく活動していきたい」と呼びかけていた。

(2025年7月18日付紙面より)

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受賞者を代表して第八盛良丸の塩地誠さん(左)が表彰状を受け取る=15日、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場
地域 黒潮の流路変化の影響は
水産振興会で表彰や講演
那智勝浦町
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勝浦漁業協同組合
漁業協同組合
 那智勝浦町の漁業関係者らで構成する町水産振興会(片谷匡会長=紀州勝浦漁業協同組合代表理事組合長)は15日、勝浦地方卸売市場で水産振興会大会を開いた。水揚げの多い漁船や優秀魚商らの表彰があった他、和歌山県水産試験場の藤田朋季研究員が「近年のカツオ漁業の実態について」をテーマに基調講演。当地方の漁業に影響を及ぼしてきた黒潮大蛇行の動向などについて、出席者らが耳を傾けた。

 黒潮大蛇行は、暖流である黒潮が、紀伊半島沖から南方へ大きく蛇行する現象。蛇行後、紀伊半島東岸では、イセエビやヒジキなどの漁獲が大きく減少していた。

 2017年8月から過去最長の7年9カ月にわたって続いた大蛇行について、気象庁は今年5月、「終息の兆しがある」と発表。現在はおおむね2カ月間、黒潮が紀伊半島に沿って流れている。

 講演では、藤田研究員が自身の研究分野であるカツオを取り上げ、黒潮の流路変化による漁場環境の変動に言及した。カツオは、黒潮からの暖水が流入することで紀伊半島沿岸に来遊。今年の春漁期(1~5月)は、四国・紀州の海域で約1000㌧と、過去10年平均の1・7倍の漁獲を記録した。一方、鹿児島以南や伊豆・小笠原では激減。東北の宮城・気仙沼でも、カツオの歴史的不漁とビンチョウマグロの豊漁などが起きていると語った。

 県水産試験場は今年から、紀伊半島沖に6基設置されている浮魚礁(回遊魚が漂流物に集まる習性を利用して集魚を図る人工漁礁)の一部に魚群探知機を導入する予定。2年後をめどに、リアルタイムの漁場情報を漁業者に提供するシステムの構築を進める方針だという。

 片谷会長は沿岸漁業について「イセエビや貝類の漁獲は衰退の一途をたどっており、イセエビは2023年の9・8㌧から昨年は5・9㌧と半減に近い結果。行政や研究機関とも連携を強化し、漁業関係者一丸となって、藻場造成などに取り組む」。また、昨年の勝浦市場の水揚げについて「9822㌧、約71億5000万円」と報告し「外来船の誘致に積極的に活動し、水揚げ確保を目指す必要がある。老朽化が目立つ市場施設の整備も喫緊の課題であり、早急な改善が必要」と述べていた。

(2025年7月18日付紙面より)



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