「さわかみオペラin那智勝浦 熊野から」の公演が2日、那智勝浦町の体育文化会館で開かれた。町内外から約400人が来場し、オペラ「愛の妙薬」(ドニゼッティ作曲)を堪能した。約1年かけて練習を重ねた地域住民による合唱団「TUNA GOOD(ツナぐ)」の65人も出演し、迫力ある歌声で観客を魅了した。
那智勝浦町オペラコンサート実行委員会(山縣弘明委員長)の主催。オペラを通じて地域を活性化させようと、「さわかみオペラ芸術振興財団」と共同で実施し、今回が4回目となる。これまでは「生まぐろ市場コンサート」として町内の勝浦地方卸売市場で開いていたが、今年は屋内会場でより本格的な舞台に挑戦した。
オペラ「愛の妙薬」は1832年、イタリア・ミラノで初演された喜劇。舞台はスペインのバスク地方で、農民の青年ネモリーノが裕福な娘アディーナに恋をするが、軍曹ベルコーレが現れてアディーナを口説き始める。そこへ薬売りのドゥルカマーラが「ほれ薬」を売りに現れるというストーリーだ。
那智勝浦らしさを表現しようと、劇中には巨大なマグロや瓶玉、櫂踊りの櫂なども登場。合唱団メンバーも町民役になりきり、イタリア語の歌や演技で観客を楽しませた。会場から「ブラボー!」「ブラビー!」と歓声が上がった。
鑑賞に訪れた70代女性は「友人が出演していると聞いて、舞台に立つ姿を見に来た。演技も歌もすごい」と笑顔。
堀順一郎町長は「合唱団のレベルが上がり、素晴らしい舞台。まさに地域活性化の妙薬」。さわかみオペラ芸術振興財団の澤上篤人理事長も来場し「公演を楽しみ、来年は演奏や美術でもっと素晴らしい舞台になるように、経済を回してほしい。オペラで地域を元気に」と話していた。
(2025年11月5日付紙面より)