紀勢本線活性化促進協議会新宮白浜区間部会の会議が4日、新宮市役所別館であった。実証実験開始で同日増便となった特急くろしおに乗って訪れた、同区間の首長など26人が参加。本年度の取り組み状況や数値目標進捗(しんちょく)の報告を受けたほか、来年度の取り組みや予算を協議した。
協議会は紀勢本線の活性化を目的に、県内24市町村で組織。新宮白浜区間部会は、同区間の厳しい収支状況を受け設置した。白浜町以南の8市町村と県、JR西日本和歌山支社、和歌山大学で組織している。
事務局は本年度の取り組みとして、特急くろしおを平日の月曜から木曜までに1日1往復、増便する実証実験を来年の3月末まで行うこと。同区間内の特急停車駅からICOCA(イコカ)を利用して乗車し、条件を満たす駅で下車した人に運賃の10%相当を還元すること。11月から来年の3月末まで新宮駅東駐車場などの料金無償化の実証実験を行うこと。同区間内の貸し切り列車内でお酒を飲むツアーを予定していることなどを伝えた。
数値目標については本年度上半期の全ての月で達成しておらず、6月と7月は前年を下回ったことが明かされた。来年度は▽くろしお利用スタンプの数に応じて商品券プレゼント▽通勤・通学定期利用者への特急料金補助▽公共交通での来訪者限定で宿泊客に商品券付与―などを行うとした。
参加者からは「地元利用を増やすのは難しい部分も」「観光客(の利用増)に絞って力を入れるべき」「ロケットに目を向けた取り組みを」などの意見があった。
なお同日、新宮駅では増便の特急くろしおを同区間内の「ゆるキャラ」が出迎えた。
新宮市の上田勝之市長は「白浜―新宮間にたくさんの方が訪れていただけるよう、実証実験が成功することを願っている。一便でも増えることで訪れる機会が増える。大きな増便になった」。
JR西日本和歌山支社の富澤五月支社長は「部会で議論を重ね、ようやく実現に至った。観光にもビジネスにも利用しやすい時間帯の列車。これを機会に多くの方に和歌山に訪れてもらい、新宮―白浜間にお住まいの方にもぜひご利用いただきたい」と話した。
(2025年11月6日付紙面より)