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神輿がまちなかを練り歩いた=16日、新宮市元鍛治町
神輿がまちを練り歩く
御船は王子、3年ぶり
新宮の速玉祭

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熊野速玉大社
御船祭
例大祭
神事
大祭
 熊野速玉大社(上野顯宮司)の大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の2日目となる16日、神輿(みこし)渡御式が営まれた。熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)(イザナミノミコト)の御霊(みたま)が遷(うつ)された神輿を男衆が担ぎ、まちなかを練り歩いた。御船祭(みふねまつり)もあり、3年ぶりに王子区が優勝した。

 新宮の速玉祭は、15日の神馬(しんめ)渡御式と16日の神輿渡御式から成り、神輿渡御式の一部として御船祭がある。川渡御に際し御霊が遷された神幸船(しんこうせん)を先導する形で、市内9地区の早船が競漕(きょうそう)する。下りでも競う。

 前日の神馬渡御式は雨天に見舞われたが、この日は午前中で雨が上がった。上野宮司の手で御霊が神輿に遷され、渡御へと出発。大量の紙垂(しで)や扇が付いた「お旗さん」、神馬に乗った「一ツ物(ひとつもの)」人形などが先導する行列は権現河原へ、神輿は分かれまちなかを練り歩いた。

 やがて神輿も権現河原に至り、御霊が神幸船に遷された後、御船祭が開始。市内9地区の早船が丹鶴体育館下の下札場をスタートして熊野川を約1・6㌔遡上(そじょう)、御船島を3周してゴールとなる相筋雇用促進住宅付近の上札場を目指した。先行する王子を昨年優勝の明神が懸命に追ったが、そのまま島の周回に突入、王子が制した。

 とも取りの福山勇人さん(32)は感涙しつつ「新人もベテランも力を出し切ってくれた。一つになってこいでくれて、勝ちにつながった。去年、おととしと悔しい気持ちを味わい、絶対に勝ちたいと思っていた」と話した。

 続いて御旅所での神事が営まれた。杉ノ仮宮に御霊が遷され、上野宮司が祝詞を奏上。夕闇が迫る中でたいまつの火がゆらめいた。

  □     □

■早船競漕の結果
【上り】
①王子②明神③阿須賀④春日⑤千穂⑥丹鶴⑦堤防⑧相筋⑨神倉

【下り】
①阿須賀②神倉③相筋④千穂⑤堤防⑥春日⑦明神⑧丹鶴⑨王子

(2025年10月18日付紙面より)


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自分たちの町の歴史を学ぶ6年生たち=14日、新宮市立神倉小学校
学校 写真で学ぶ市の歴史
6年生がふるさと学習に向け
神倉小
 新宮市立神倉小学校(富田英之校長)で14日、ふるさと学習に向けた事前授業があった。6年生59人が、熊野学研究委員会の委員などを務める中瀬古友夫さんから、市の発展の歴史や、熊野川の河原にかつて存在した組み立て式の簡易家屋「川原家(かわらや)」などについて学んだ。

 神倉小学校運営協議会(下岡輝子会長)による「ヤタガラス子ども未来プロジェクト」の一環。児童たちに地元の歴史や文化を学び、愛着を持ってもらうために同協議会メンバーを中心にした有志の協力の下に取り組んでおり、31日(金)には川原家造りの見学や体験を行う予定。

 中瀬古さんはスライドで「新宮」という名前の由来を説明。熊野の初期の祭祀(さいし)場(神倉神社)に対して、新たな社殿熊野速玉大社)を造営したことにちなみ「新しい宮」を意味する新宮となったと解説した。

 明治大正の町の様子の紹介では、熊野川と太平洋を利用した水運で製材業が隆盛を極めたこと、当時の新宮は東京、大阪などとの交通が他の地域と比較しても便利だったことに触れた。

 また、川港だった熊野川河口は、最盛期には約200軒の川原家でにぎわい、川の増水時には簡単に分解して避難できたことなどを写真で紹介。1935年の熊野大橋の完成で廃れたが、46年の昭和南海地震では市街地を焼け出された人たちにより再利用されたことなどを語った。

 地元出身の文人、佐藤春夫が作詞した新宮市歌の一節「水にも火にも砕けざる金剛の都市」には、この昭和南海地震や明治初期に発生した水害をくぐり抜けてきた新宮市への思いがあるとも話した。

 2組の佐々木晴登さんは「話を聞いて昔の新宮のことをもっと知りたいと思った。川原家のことは知っていたけど、災害時に使われていたのは知らなかった。実際の組み立てはうまくやりたい」と話していた。

(2025年10月18日付紙面より)

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協定を結んだ鈴木崇代表取締役社長(右)と橋本健輔署長=14日、串本町の新宮警察署串本分庁舎
警察 鈴木石油と燃料供給協定
県警初、民間企業と締結
新宮署
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大規模災害
災害発生
災害
 新宮警察署(橋本健輔署長)の串本分庁舎で14日、同署と鈴木石油株式会社(鈴木崇代表取締役社長)との「大規模災害時等における警察施設等への燃料の供給に関する協定」の締結式があった。和歌山県内における警察署と民間企業との燃料供給に関する協定締結は今回が初めてとなる。

 鈴木石油株式会社は1948年に串本町で創業、現在新宮署管内で複数の給油所を所有している。山間部、沿岸部が多い同署管内は、災害発生後の早期応援が望めず、自署のみの警察活動を余儀なくされる可能性が高い。

 警察活動を支える緊急車両の運営、警察署の機能維持に各種燃料が必要不可欠になることについて同署が説明したところ鈴木石油が協力を快諾、今回の協定締結となった。締結式には橋本署長、鈴木社長が出席、協定書に署名押印した。

 式典後、橋本署長は「今回の協定の大きなポイントは本署や分庁舎などが停電時に運営するための自家発電燃料の手当てが付いたこと。数日分は備蓄してあるが、それ以降の対策はなかった。今後非常時には、タンクローリーの利用で重油や軽油などを本署や分庁舎の施設に直接提供いただける。署としても非常に心強い」と感謝の言葉を述べ、鈴木社長も「災害時、新宮署の皆さんが安全のための警察活動を継続して行うのが住民の安心につながると思う。弊社としても非常時の燃料供給を通じ、住民の皆さまの安心、安全に貢献していきたい」と語った。

(2025年10月18日付紙面より)

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