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搬入場所として検討している若者広場=8日、新宮市熊野川町日足
基準値超え残土を搬入
新宮市熊野川町の広場で検討
住民説明会で反対相次ぐ

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大水害
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 基準値を超えるヒ素やフッ素が検出されたため工事が打ち切りとなっていた、国道168号「仮称2号トンネル」について、新宮市熊野川町日足(ひたり)にある市有地の若者広場(約1万2350平方㍍)へ残土を搬入して盛り土とする計画の住民説明会が8日、熊野川町総合開発センターであった。工事主体の県と提案者の市が実施した。地域住民の関心は高く、約100人が参加。反対意見が相次ぎ、時間は2時間半に及んだ。報道陣の傍聴は県東牟婁振興局新宮建設部が拒否した。

 県は国道168号の相賀―高田間で2カ所、熊野川町日足―東敷屋間で4カ所のトンネル設置を計画。相賀―高田間の相賀トンネル(仮称1号トンネル)はすでに工事が完了している。仮称2号トンネルも2021年度に工事を始めたが、基準値の7倍のヒ素や4倍のフッ素を検出。残土処分費用が膨らみ工事費が約200億円増となるため、事業を休止していた。処分コスト縮減案の見通しが立ったら再発注を考えると伝えていた。早期完成を望む市は県に、若者広場への搬入を提案した。

 県が検討している盛り土の計画は、若者広場の全体を想定したもの。飛散・流出の防止対策を行うことを考えている。具体的には、箱状としたコンクリートなどで基準値超えの残土を囲い、その上にグラウンドの土を入れる予定でいる。

 若者広場は現在、保育所、小学校、中学校合同の運動会や子どもらの野球、交流グラウンドゴルフ大会などで利用している。参加者からは「子どもが使う場所に搬入は違う」「害が出た時に誰が責任を負うのか」「雨で水が流れる。稲作をしている人も多い」「資料が少なく安全性を確認できない」「水害であそこはつかった」などの意見があったという。

 県は若者広場以外でも、市内で複数箇所の候補地を検討中。仮称2号トンネルと他4本で発生した基準値超え残土の搬入を考えている。同部工務課の川井儀賠課長は説明会後に「今日の意見を聞き、今後は市とも協議検討したい。道を早くほしいとの要望の人もいる。どっちが多いかは冷静に判断しないといけない立場。多くの人が極力納得いただける答えを見つけたい。丁寧に説明していきたい」と語った。

(2025年9月10日付紙面より)


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地域 ロケットがオレンジ色に
世界アルツハイマー月間
那智勝浦町
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旧浦神小
浦神小
 「世界アルツハイマー月間」の9月に合わせ、那智勝浦町の浦神小学校(ロケット公式見学場)でロケットモニュメントがシンボルカラーのオレンジ色にライトアップされている=写真

 国際アルツハイマー病協会は1994年、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定。9月を「アルツハイマー月間」とし、認知症やアルツハイマー病への理解を深め、患者や家族への支援を促すことを目的に、世界各地で啓発活動が行われている。

 当地方では高齢化が急速に進んでおり、那智勝浦町では8月末現在で、人口1万3278人中、5872人が65歳以上となっている。厚生労働省の推計(2024年)では、高齢者の認知症・軽度認知障害の有病率は12・9%とされ、誰もがなり得る身近な病気になっている。

 同町では認知症への理解を促す取り組みとして、19日(金)午後2時~4時に宇久井の「珈琲処がじゅまる」と下里の「汽ノ舎」で認知症カフェを開く。町立図書館では特設ブースを設置し、26日(金)午後2時~3時にセミナーも予定している。こちらの参加申し込みは町役場福祉課高齢者支援係(電話0735・29・7039)へ。

(2025年9月10日付紙面より)

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「みんなでえがく救護所研究会」の発足式に出席した関係者=8日、紀宝町役場
医療 産官学と医療機関が連携し
「みんなでえがく救護所研究会」発足式
紀宝町
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鵜殿小
災害
防災
 産官学と医療機関が連携し、災害時の緊急医療救護所に関する研究活動を行う「みんなでえがく救護所研究会」の発足式が8日、紀宝町役場であった。紀宝町、町地域医療研修センター、紀南医師会、日本大学、清水建設株式会社による社会貢献や新たな価値創造を目指す取り組みで、紀宝町を研究フィールドに活動する。

 町のタイムライン防災、救護活動整備が合わさり、命を取り扱う医療分野の研究を含んだ連携として国内外から注目を集めている。地域課題の解決、研究開発と技術革新、知的財産の活用と社会還元、人材育成が狙い。

 今後、それぞれの分野で仲間を増やしながら、地域社会の発展に貢献し続けられる活動を維持できるよう努めていく。

 本年度、町では地域医療と防災のモバイルクリニック事業として、用途に応じて椅子や机などの車内装備を自由に取り外しができるワゴンタイプのマルチパーパスモビリティーを整備する。

 ポータブルレントゲン装置、心電図モニター付き除細動器、ポータブル超音波などの医療機器も搭載し、平時は地域医療の巡回車両に、災害時には救護車両として活用する予定で、研究にも生かしていくという。

 町救護所として指定されている鵜殿小学校で医薬品の備蓄や教室を活用した医療活動訓練などの整備を進めており、27日(土️)に紀南地域救急医療対策協議会による救護班訓練を予定。研究会も関わっていく。

 発足式で西田健町長は「災害大国であるわが国では、地域を問わず災害への備えが不可欠であり、本日スタートする研究会の成果が全国の自治体における災害時緊急医療救護所の整備に大いに貢献するものと確信しています」とあいさつ。

 紀南医師会救護班の寺本泰班長は「この取り組みを進め、全国に発信していければ」、日本大学理工学部の江川香奈准教授は「学校を医療救護所として確保するのは難しいが、医療救護所に向けて整備することが大切。訓練に学生も参加して研究を進めていきたい」と述べた。

 相野谷診療所長で町地域医療研修センターの森本真之助センター長は「紀宝町の事例を韓国であったアジア災害医学カンファレンスで発表した。みんなで救護所を良いものに仕上げて日本、世界に発信したい」と話した。清水建設の牧住敏幸さん、野竹宏彰さんは企業の立場から協力することを伝えた。

(2025年9月10日付紙面より)

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    紀伊半島大水害
    大水害
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