産官学と医療機関が連携し、災害時の緊急医療救護所に関する研究活動を行う「みんなでえがく救護所研究会」の発足式が8日、紀宝町役場であった。紀宝町、町地域医療研修センター、紀南医師会、日本大学、清水建設株式会社による社会貢献や新たな価値創造を目指す取り組みで、紀宝町を研究フィールドに活動する。
町のタイムライン防災、救護活動整備が合わさり、命を取り扱う医療分野の研究を含んだ連携として国内外から注目を集めている。地域課題の解決、研究開発と技術革新、知的財産の活用と社会還元、人材育成が狙い。
今後、それぞれの分野で仲間を増やしながら、地域社会の発展に貢献し続けられる活動を維持できるよう努めていく。
本年度、町では地域医療と防災のモバイルクリニック事業として、用途に応じて椅子や机などの車内装備を自由に取り外しができるワゴンタイプのマルチパーパスモビリティーを整備する。
ポータブルレントゲン装置、心電図モニター付き除細動器、ポータブル超音波などの医療機器も搭載し、平時は地域医療の巡回車両に、災害時には救護車両として活用する予定で、研究にも生かしていくという。
町救護所として指定されている鵜殿小学校で医薬品の備蓄や教室を活用した医療活動訓練などの整備を進めており、27日(土️)に紀南地域救急医療対策協議会による救護班訓練を予定。研究会も関わっていく。
発足式で西田健町長は「災害大国であるわが国では、地域を問わず災害への備えが不可欠であり、本日スタートする研究会の成果が全国の自治体における災害時緊急医療救護所の整備に大いに貢献するものと確信しています」とあいさつ。
紀南医師会救護班の寺本泰班長は「この取り組みを進め、全国に発信していければ」、日本大学理工学部の江川香奈准教授は「学校を医療救護所として確保するのは難しいが、医療救護所に向けて整備することが大切。訓練に学生も参加して研究を進めていきたい」と述べた。
相野谷診療所長で町地域医療研修センターの森本真之助センター長は「紀宝町の事例を韓国であったアジア災害医学カンファレンスで発表した。みんなで救護所を良いものに仕上げて日本、世界に発信したい」と話した。清水建設の牧住敏幸さん、野竹宏彰さんは企業の立場から協力することを伝えた。
(2025年9月10日付紙面より)
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