4期16年を務め任期満了で29日に勇退する、新宮市の田岡実千年市長の退任式が同日、新宮市役所別館であった。市職員や市議会議員、市民など約300人が参集。別れを惜しみ感謝を伝えた。
以前に治療したがんの転移が見つかるなど、健康面の不安から5期目を全うできないと勇退を決めた。次期市長には上田勝之氏の就任が決まっている。
退任式では、向井雅男副市長と東原伸也議長が送別の言葉を披露。互いに市長との思い出の数々を紹介した後「今後もまちづくりへの力添えを。長年のご指導とご尽力に感謝を申し上げる」「病気を治して新たな人生を。最高の笑顔で市民を包んだ田岡市長は、私にとっても最高の市長だった」と結んだ。
これらを受け、田岡市長があいさつ。16年前の選挙は劣勢が伝えられる厳しいものだったこと。市長として時に新聞社から厳しい指摘も受けたこと。後援会が押し上げた後は一切要望を言わないおかげでしがらみのない政治が行えたことなどを振り返った。
がんの転移が分かり勇退を決めたことを語る際には「亡くなった母が、そろそろいいのではと言ってくれているような思いがした」と声を詰まらせた。「(16年間を)振り返ると、毎日楽しかった。わくわくして仕事に行けた。皆さんのおかげ。感謝したい」とほほ笑んだ。
職員や市議会、支えてくれた妻への感謝も伝えた。新市長の上田氏について「経験や人間性が豊かな方。引き続き職員と一緒に、まちづくりを担ってくれると期待している」とエールを送った。「皆さん、本当にありがとう」と締めくくった。
花束の贈呈に続き、サプライズで家族からの記念品贈呈があった。最後は参加者で花道を作り、田岡市長の退庁を見送った。
(2025年10月31日付紙面より)