ゴールデンウイーク(GW)序盤の4月29日、那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場にクロマグロ43本の水揚げがあった。シーズン最終盤の大漁に市場が活気づき、観光客らも巨大なクロマグロが並ぶ様子を見物していた。
全国有数の生鮮マグロの水揚げ量を誇る勝浦地方卸売市場。この日は9隻が入港し、最大は益丸(高知県)のクロマグロ273㌔、最高値は1㌔当たり8180円だった。
那智勝浦観光機構(NACKT)の生マグロ市場競りガイドツアーもあり、マグロが食べたいと愛知県から家族6人で訪れた岩瀬篤紀君(9)は「マグロの卵の大きさや体温などのクイズがよく分かった」。姉の恵奈さん(12)は「市場を見ていて、おいしそうだなって思った。お刺し身はあんまり好きではなかったけれど、今日の朝ご飯が楽しみ」と話していた。
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■漁獲枠規制へ船頭らから不満の声も
一方、はえ縄船の船頭らからは、漁獲枠規制で思うように漁ができていないことへの不満の声も。「枠を超えないよう、大半を海に放すことになった。以前はこれほど食いつくこともなかったので、規制で資源量も回復しているのでは」「漁獲枠を10㌧持っている船もあれば1㌧ほどしかない船もあり、急に減らされることもある。全船一律なら納得もできるが、基準が分からない」「禁漁期間や禁漁区域を設ける方が合理的と思う」などの意見が聞かれた。
太平洋クロマグロは資源保護のため、国際的な漁獲規制の対象であり、国内では中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の合意に基づいて2015年以降、漁獲管理を行っている。2024年の漁獲枠は日本全体でおよそ1万1000㌧。うち市場価値が高い30㌔以上の大型魚は、国が管理する沖合漁業に4820・2㌧、近海はえ縄漁を含む各都道府県での沿岸漁業分に1745・9㌧を振り分けた。そこから漁法、船ごとに枠が決められる。
漁港関係者からは「枠のほとんどを巻き網船が持っている。幼魚を含めて一網打尽にする巻き網と違い、大きく成長した成魚のみを一本一本釣り上げるはえ縄漁は環境に最も優しい漁法。これからの時代、こうした漁法の保護を考えるべき」「マグロは自分たちの生活の糧。今のままでは資源保護になっていない」との意見も聞かれた。
(2024年5月2日付紙面より)